111A54

5歳の男児。咳嗽と呼吸困難とを主訴に両親に連れられて来院した。3日前から発熱、咳嗽および喘鳴が出現したため、かかりつけ医を受診しβ2刺激薬の吸入と経口副腎皮質ステロイドが処方された。昨夜から解熱したが呼吸困難のため夜間眠れなくなり、再度かかりつけ医を受診したところ喘鳴と鎖骨上窩の皮膚の握雪感とを認めたため紹介された。来院時、会話ができない状態であった。

この患児の胸部エックス線写真で予想される所見はどれか。2つ選べ

心拡大
皮下気腫
肺過膨張
胸腺肥大
肋間の狭小化

解答: b,c

111A54の解説

β2刺激薬と経口副腎皮質ステロイドを処方されており、気管支喘息を疑う。この背景下で喘鳴、鎖骨上窩の皮膚の握雪感がみられており、気胸または縦隔気腫を呈したと考えられる(Air Leak Syndromeと呼ばれる)。
a 気管支喘息では肺の過膨張がみられるため、心陰影は縮小する。気胸により片側の肺が虚脱してしまったと仮定しても、わずか3日で心拡大を呈するほどの心不全に至っている可能性は低い。
b 正しい。Air Leak Syndromeでは皮下気腫をみる。
c 正しい。気管支喘息では肺の過膨張をみる。気胸により片側の肺が虚脱してしまったと仮定しても、気胸を呈していない方の肺は過膨張しているに違いない。さすがに両側の肺が気胸を呈した、というのは考えすぎだ。
d 新生児や乳児では生理的に胸腺腫大していることもある(sail sign)が、5歳児では考えにくい。
e 肺の過膨張により肋間は拡大する。
※気胸を呈すると肺は虚脱する。この事実を深く考えすぎるとcを誤りと判定しかねない。消去法で慎重にアプローチする習慣をつけよう。

正答率:70%

テーマ:小児喘息に端を発するAir Leak Syndromeの所見

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