111A50

42歳の男性。自力で動けなくなったため救急車で搬入された。2週間前から腰痛が増悪し、今朝から動けなくなった。2年前から定職に就かず路上生活を送っているという。意識は清明。体温37.2℃。心拍数88/分、整。血圧130/78mmHg。呼吸数20/分。SpO2 98%(room air)。疼痛のため、左股関節を伸展できず、仰臥位になることもできない。両下肢に明らかな筋力低下を認めない。腱反射に異常を認めない。赤沈45mm/1時間。血液所見:Hb 13.2g/dL、白血球9,000。CRP 3.4mg/dL。搬入時の腰椎エックス線写真(A)と右半側臥位での腰椎造影MRI(B)及び入院3日目の仰臥位での腰椎MRIのT2強調像(C)とを別に示す。

治療方針を決定するために有用なのはどれか。

尿培養
FDG-PET
腸腰筋穿刺
腫瘍マーカー測定
骨シンチグラフイ

解答: c

111A50の解説

Aでは椎体の彎曲とL3/4の狭小化、両側腸腰筋陰影の腫大をみる。B, Cでは腸腰筋内に液体貯留がみられており、特にBでは嚢胞状変化の周囲(被膜部)の造影効果が指摘できる。発熱や白血球・CRP高値といった炎症所見と合わせ、液体貯留は膿瘍と考えられる。腸腰筋膿瘍の診断。
a 尿路感染ではないため無効。
b 悪性腫瘍の転移ではないため無効。
c 正しい。膿瘍腔を穿刺し、ドレナージする。排液を培養して起炎菌を同定することもできる。
d 悪性腫瘍ではないため無効。
e 炎症部の集積がみられるも、炎症であることはすでに歴然であり、加えて実施する意義に乏しい。
※腸腰筋膿瘍は107D56で類似画像の出題あり。

正答率:78%

テーマ:腸腰筋膿瘍の治療方針決定に有用な検査

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