111A43

69歳の男性。膵腫瘤の増大を指摘されて来院した。4年前の人間ドックで初めて径15mmの膵腫瘤を指摘され、経過観察とされていたが、その後医療機関を受診していなかった。今回、人間ドックで腫瘤の増大を指摘され紹介されて受診した。体温36.2℃。脈拍72/分、整。血圧132/80mmHg。呼吸数12/分。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知せず、圧痛を認めない。血液所見:赤血球402万、Hb 14.0g/dL、Ht 43%、白血球6,800、血小板19万。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン4.0g/dL、総ビリルビン0.8mg/dL、AST 23U/L、ALT 22U/L、ALP 213U/L(基準115〜359)、γ-GTP 17U/L(基準8〜50)、アミラーゼ42U/L(基準37〜160)、血糖98mg/dL。CRP 0.2mg/dL。腹部造影CT(A)とMRCP(B)とを別に示す。腹部造影CTで腫瘤の最大径は35mmである。

適切な手術はどれか。

膵全摘術
腫瘤核出術
膵鉤部切除術
嚢胞小腸吻合術
膵頭十二指腸切除術

解答: e

111A43の解説

4年間という長期経過で高齢男性にジワジワと拡大する膵腫瘤がみられている。Aでは内部均一な嚢胞影が、Bでは膵頭部にブドウの房状の病変と主膵管との交通がみられる。膵管内乳頭粘液性腫瘍〈IPMN〉の診断。
a 膵頭部の病変であり、全摘はオーバーである。
b IPMNは拡大にて癌化も疑う。ゆえに核出では対応できない。
c 膵頭部から尾側へ突出した部位が膵鉤部である。膵鉤部の病変は指摘できない。
d 嚢胞の内容を腸管へシャントさせる術式。bでも示したように悪性の可能性もあり、不十分な対応だ。
e 正しい。悪性が疑われるIPMNの術式として適切である。

正答率:44%

テーマ:膵管内乳頭粘液性腫瘍〈IPMN〉に適切な手術

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