111A42

67歳の男性。歩行時の両下肢痛を主訴に来院した。15年前から高血圧症と脂質異常症とで内服治療中である。最近、10分程度の歩行で両下肢痛が出現するようになった。安静にしていると軽快するという。体温36.5℃。脈拍64/分、整。右上腕血圧134/72mmHg、足関節上腕血圧比〈ABI〉は右0.67、左0.50(基準0.9以上)。入院後、下肢血管に対してステント留置術が行われた。左下肢の治療前(A)、ガイドワイヤ通過後(B)及び治療後(C)の血管造影写真を別に示す。

ステントが留置された矢印で示す血管はどれか。

左腓骨動脈
左総腸骨動脈
左内腸骨動脈
左浅大腿動脈
左大腿深動脈

解答: d

111A42の解説

間欠性跛行を主訴に来院した67歳男性。ABIが低下しており閉塞性動脈硬化症〈ASO〉の診断である。経皮的血管形成術〈PTA〉を施行した血管を問うているが実質的には解剖の問題である。
a~c 透視下で何を目印にするかというと骨である(画像のように縮尺が途中で変わると距離感がつかみにくいため定規を足に固定して行うこともある)。本画像では大腿骨頭より下〜膝関節の血管が問題となっているため、a〜cの動脈は存在しない。
d・e 側面像であれば一目瞭然なのだが、正面像では見分けがつきにくいかもしれない。見分け方は浅大腿動脈は深大腿動脈の内側を走行すること、比較的浅大腿動脈は総大腿動脈から分岐後直線的に末梢までのびることである。この問題を機に覚えておいて頂きたい。よってdが正解である。参考までに、浅大腿動脈の閉塞に伴い深大腿動脈から側副血行路(細かな血管)がのびていたが、ステント留置後はそれらの血管が減少している。これはステント留置により本幹の血流が勝り役目を終えたからである。

正答率:27%

テーマ:閉塞性動脈硬化症〈ASO〉でステントが留置された血管

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