解決済 111A43 09.肝胆膵

IPMNの手術適応について

お世話になっております。
IPMNの手術適応として、主膵管型、拡大例(30mm)、閉塞性黄疸例、悪性を疑う例にて行うと習いましたが、画像所見から主膵管型と分枝型はどのように見極めるのでしょうか。大雑把にぶどうの房状の腫瘤が、ファーター乳頭に近いものが主膵管型で、主膵管の走行の途中から隆起してきているのが分枝型なのかと考えましたが、いかがでしょうか。あるいは、問題文から拡大傾向があったり、上記の他の条件と照らし合わせて考えるのが現実的なのでしょうか。
ご教授頂きたいです。

回答5件

  • こんにちは!

    主膵管型:主膵管内に病変の首座があり、主膵管のみの拡張をきたす
    分枝膵管型:分枝膵管内の病変により分枝膵管が拡張し主膵管拡張を認めないもの
    混合型:主膵管と分枝膵管いずれにも病変を認め、両者の拡張をきたすもの
    に分類されます。
    国際診療ガイドラインにおいては、
    主膵管の拡張径が5mmを超えるものが主膵管型
    主膵管と交通する5mm以上の分枝膵管の拡張を伴うものを分枝型
    この両者の特徴を呈するものを混合型
    と定義されています。
    とりわけ、分枝型IPMNでは多房性嚢胞性腫瘤の形態を示し、いわゆる「ぶどうの房状」と形容されることが多いことはご存知の通りかと思います。
    よって本問の画像は分枝型と私は判断しました(主膵管は拡張していないので主膵管型ではないのかな、と思います)。

    ただし専門医に言わせると、MRCP上で主膵管との交流を明らかにすることはできないことも結構あるそうです。
    ここからは、蛇足ですが、
    MRCPは画像をみても明らかなように描出能力がERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査)と比べて低精細です。よってMRCPで分枝膵管が見えること自体、「異常」とされます。一方でERCPでは正常でも分枝膵管が描出されます。
    それならIPMNの場合も高精細なERCPすればいいじゃん!と思うかもしれないですが、侵襲も大きいですし、粘液がじゃましてうまく膵管を描出できないことも多いそうです。
    (MRCPのメリットは「非侵襲的」、「閉塞部位の遠位の評価もできる」、「急性膵炎や胃切除後の患者さんでも検査できる」、「自然な状態での観察ができる」「ヨード造影剤を使用しない」、などがあるのに対して、ERCPのメリットは「高精細」、「検体の採取もできる」、「治療もできる」、といったことがあげられるかと思います)

    間違えていたらごめんなさい!

  • 大変詳しい解説をありがとうございます!
    恥ずかしながら、IPMNは全例において、ぶどうの房状に見えると覚えていたのですが、それは分枝型における話であって、主膵管型では主膵管内が病変の首座であるため主膵管の拡張を認めるということですね!故に本問は、画像からぶどうの房状の腫瘤が見られ、かつ主膵管の拡張も見られないので分枝型と判断するということで納得しました。とてもスッキリしました。
    重ねてERCPとMRCPの違いについてもありがとうございます。勉強になりました!

  • 初めまして。
    IPMNの手術適応として、主膵管型、拡大例(30mm)、閉塞性黄疸例、悪性を疑う例にて行うとありますが

    この問題111A43は、しっかりとぶどうの房が見えるので、分岐型ですよね??
    どうして主膵管型ではないのに手術になるのですか??

  • IPMNの治療は、主膵管・混合型で外科的切除が考慮されます。分枝型では基本的に経過観察ですが、①閉塞性黄疸を伴う膵頭部病変、②造影される充実性成分、③主膵管径10mm以上では手術適応となり、①嚢胞径3cm以上、②隔壁の肥厚、③主膵管径5~9mm、④造影効果のない結節、⑤主膵管径の急激な変化では精査すべきとなるようです*。
    しかしながら、国試的にはこれらを覚えるのはオーバーワークかと思われ、上記の主膵管型、拡大例(30mm)、閉塞性黄疸例、悪性のいずれかを疑う例で外科的切除と考えてよろしいのではないでしょうか。
    すなわち、本問は、分枝型ではありますが、4年前の15mmから拡大し、現在は35mmと、30mmを超えているため外科的切除となると考えました。
    *https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=5240

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  • 問題参照 111A43

    69歳の男性。膵腫瘤の増大を指摘されて来院した。4年前の人間ドックで初めて径15mmの膵腫瘤を指摘され、経過観察とされていたが、その後医療機関を受診していなかった。今回、人間ドックで腫瘤の増大を指摘され紹介されて受診した。体温36.2℃。脈拍72/分、整。血圧132/80mmHg。呼吸数12/分。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知せず、圧痛を認めない。血液所見:赤血球402万、Hb 14.0g/dL、Ht 43%、白血球6,800、血小板19万。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン4.0g/dL、総ビリルビン0.8mg/dL、AST 23U/L、ALT 22U/L、ALP 213U/L(基準115〜359)、γ-GTP 17U/L(基準8〜50)、アミラーゼ42U/L(基準37〜160)、血糖98mg/dL。CRP 0.2mg/dL。腹部造影CT(A)とMRCP(B)とを別に示す。腹部造影CTで腫瘤の最大径は35mmである。

    適切な手術はどれか。

    • a 膵全摘術
    • b 腫瘤核出術
    • c 膵鉤部切除術
    • d 嚢胞小腸吻合術
    • e 膵頭十二指腸切除術
  • 関連トピック

    なし