110I70

20歳の女性。発熱、関節痛および筋肉痛を主訴に来院した。1か月前に咽頭痛と頸部のリンパ節腫脹が出現した。自宅近くの診療所で総合感冒薬を処方されたがその後も、発熱、関節痛および筋肉痛が続くため受診した。体温は毎日39〜40℃に上昇し、その後解熱し平熱になる。発熱時には上腕に紅色の皮疹が出現し、解熱すると消退する。来院時、体温38.5℃。上腕部に淡い紅斑を認める。咽頭の発赤を認める。両側の頸部に圧痛を伴う径1〜2cmのリンパ節を数個触知する。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。尿所見:蛋白(―)、潜血(―)、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球402万、Hb 10.5g/dL、白血球16,500(桿状核好中球20%、分葉核好中球63%、好酸球3%、好塩基球0%、単球2%、リンパ球12%)、血小板28万。血液生化学所見:IgG 1,760mg/dL(基準960〜1,960)、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 128U/L、ALT 152U/L、γ-GTP 82U/L(基準8〜50)、フェリチン3,100ng/mL(基準20〜120)。可溶性IL-2受容体512U/mL(基準550以下)。免疫血清学所見:CRP 11mg/dL、リウマトイド因子〈RF〉陰性、抗核抗体陰性。CH50 52U/mL(基準30〜40)。血液培養は2セット採取し、ともに陰性である。胸部エックス線写真で異常を認めない。骨髄血塗抹染色標本で異常を認めない。
この患者で最も考えられる疾患はどれか。
成人Still病
IgG4関連疾患
顕微鏡的多発血管炎
リウマチ性多発筋痛症
全身性エリテマトーデス〈SLE〉

解答: a

110I70の解説

若年女性で間欠熱、発熱に一致した上腕部の淡い紅斑(サーモンピンク疹を疑う)、リンパ節腫脹、好中球メインの白血球上昇などがみられている。これだけでも十分に診断に至りそうだが、極めつけにフェリチンの高度上昇が示されている。成人Still病以外は考えられない。
a 正しい。上記の通り。
b IgGが高値を示すはずである。
c 肺病変や腎病変を伴うことが多い。
d 高齢者に多く、発熱に一致した発疹はみられない。
e 汎血球減少や抗核抗体陽性、補体低値をみるはずである。

正答率:92%

テーマ:成人Still病の診断

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