110I50

31歳の男性。呼吸困難を主訴に来院した。3か月前から全身倦怠感があったが、最近1か月で症状が増悪し、昨日から呼吸困難が出現するようになったため受診した。意識は清明。身長175cm、体重62kg。体温36.5℃。脈拍84/分、整。血圧124/74mmHg。呼吸数20/分。SpO2 96%(room air)。胸部の聴診でIII音とIV音とを聴取する。両側の胸部でwheezesを聴取する。両側の脛骨前面に圧痕を残す浮腫を認める。血液所見と血液生化学所見とに異常を認めない。心電図は心拍数82/分の洞調律で、その他に異常所見を認めない。胸部エックス線写真では心胸郭比60%で肺うっ血を認める。心エコー図(A、B)を別に示す。
最も考えられる疾患はどれか。
拡張型心筋症
大動脈弁狭窄症
心アミロイドーシス
閉塞性肥大型心筋症
ミトコンドリア脳筋症

解答: a

110I50の解説

Aでは左室腔の増大と壁の非薄化を、Bでは左室壁運動の低下を読み取ることができる。若年者で比較的急速に心不全に至っており、拡張型心筋症が考えやすい。両側胸部でwheezesを聴取しているのは心臓喘息による。
a 正しい。上記の通り。
b 胸骨右縁第2肋間の収縮期雑音を聴取する。また、大動脈弁の輝度上昇をみるはずだ。壁運動も低下しない。
c アミロイド沈着により心室壁は肥厚するはずだ。
d 胸骨左縁第4肋間あたりで収縮期雑音を聴取する。また、心室中隔の非対称性肥厚(ASH)とそれに伴う左室流出路狭窄をみるはずだ。
e 遺伝性疾患であり、糖尿病や難聴といった多臓器の症候を合併する。また、心室壁は肥厚するはずだ。

正答率:95%

テーマ:拡張型心筋症〈DCM〉の診断

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