110I51

19歳の男性。交通外傷のため救急車で搬入された。オートバイを運転中に転倒し、右側腹部をアスファルト路面に強打した。搬送中は意識清明で脈拍100/分、整。血圧120/80mmHg。事故発生から病院への搬送は約45分。搬入後、呼びかけには反応するが時々意識が途切れる。脈拍112/分、整。血圧90/60mmHg。呼吸数18/分。SpO2 96%(リザーバー付マスク10L/分 酸素投与下)。心音と呼吸音とに異常を認めない。右腹部は膨隆し圧痛がある。血液所見:赤血球330万、Hb 11.4g/dL、Ht 33%、白血球12,800(桿状核好中球2%、分葉核好中球78%、好酸球2%、好塩基球1%、単球3%、リンパ球14%)、血小板17万。血液生化学所見:総蛋白6.0g/dL、アルブミン3.9g/dL、AST 40U/L、ALT 42U/L、LD 189U/L(基準176〜353)、尿素窒素23mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、Na 141mEq/L、K 3.7mEq/L、Cl 107mEq/L。CRP 0.4mg/dL。直ちに乳酸リンゲル液の投与を開始した。尿道カテーテルを留置すると血尿を認める。腹部造影CTの冠状断像を別に示す。輸血を行いながら選択的右腎動脈塞栓術を施行したが血圧は84/52mmHgと上昇しなかった。
次に行うべき治療として適切なのはどれか。
開腹止血術
自家腎移植術
右腎静脈塞栓術
経皮的腎瘻造設術
腹腔鏡下右腎摘除術

解答: a

110I51の解説

交通外傷。画像では右腎部からの造影剤漏出や血腫形成をみとめる。右側腹部をアスファルト路面に強打したことで右腎損傷を呈したのであろう。第一選択となる治療は本文でも示されている動脈塞栓術であるが、それでも血圧が上昇してこないため、次なる一手を考慮する必要がある。
a 正しい。インターベンショナルラジオロジー〈IVR〉が無効な出血の最終手段は開腹止血術である。
b・d・e 血圧が低下しており、止血が急務となる。これらは急性期に実施すべき対応ではない。
c 動脈性の出血が疑われるため、静脈塞栓をする意義には乏しい。

正答率:93%

テーマ:動脈塞栓でも止血不能な腎外傷に行うべき治療

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