109I76

60歳の女性。呼吸困難を主訴に来院した。3週前から乾性咳嗽が、2週前から血痰が出現した。昨日から38℃台の発熱と呼吸困難とを生じたため受診した。意識は清明。身長150cm、体重48kg。体温37.4℃。脈拍92/分、整。血圧124/86mmHg。呼吸数24/分。SpO2 90%(room air)。眼瞼結膜は貧血様である。心尖部にII/VIの汎〈全〉収縮期雑音を聴取する。右胸部と右背部とにfine cracklesを聴取する。尿所見:比重1.011、蛋白1+、潜血2+。血液所見:赤血球280万、Hb 8.2g/dL、Ht 28%、白血球13,600(桿状核好中球10%、分葉核好中球81%、好酸球1%、単球3%、リンパ球5%)、血小板36万。血液生化学所見:アルブミン3.3g/dL、AST 50U/L、ALT 30U/L、LD 710U/L(基準176〜353)、尿素窒素16mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL。免疫血清学所見:CRP 16mg/dL、抗核抗体160倍(基準20以下)、MPO-ANCA 300EU/mL(基準20未満)。胸部CTを別に示す。
治療として適切なのはどれか。2つ選べ
フロセミド
ニトログリセリン
シクロホスファミド
副腎皮質ステロイド
サラゾスルファピリジン

解答: c,d

109I76の解説

MPO-ANCAの上昇がみられている。好酸球の上昇もなく、腎障害がみられていることから好酸球性多発血管炎性肉芽腫症〈EGPA〉〈アレルギー性肉芽腫性血管炎〉〈Churg-Strauss症候群〉は否定的であり、顕微鏡的多発血管炎〈MPA〉が考えやすい。胸部CTでは右肺野優位のスリガラス影がみられている。
a 利尿薬である。浮腫の記載もなく、必要ない。
b 血管拡張薬である。虚血性心疾患や一部の肺高血圧に用いる。
c・d 正しい。MPAの治療薬は副腎皮質ステロイドと免疫抑制薬(シクロホスファミド)である。
e 潰瘍性大腸炎〈UC〉や関節リウマチ〈RA〉に有効となる免疫抑制薬である。

正答率:83%

テーマ:顕微鏡的多発血管炎〈MPA〉の治療

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