109A29

78歳の男性。労作時呼吸困難を主訴に来院した。6年前から坂道や階段を昇る際に息切れを自覚していた。1か月前に感冒様症状があり、その後、呼吸困難が増強するため受診した。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。喫煙は60歳まで50本/日を35年間。意識は清明。身長162cm、体重63kg。体温36.2℃。脈拍92/分、整。血圧132/66mmHg。呼吸数28/分。SpO2 91%(room air)。呼吸音は背部にfine cracklesを聴取する。ばち指を認める。血液所見:赤血球499万、Hb 16.2g/dL、Ht 47%、白血球8,900(桿状核好中球4%、分葉核好中球78%、好酸球1%、好塩基球0%、単球2%、リンパ球15%)、血小板17万。血液生化学所見:LD 380U/L(基準176〜353)、尿素窒素22mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉37pg/mL(基準18.4以下)、KL-6 1,460U/mL(基準500未満)。CRP 1.2mg/dL。胸部エックス線写真(A)と胸部CT(B)とを別に示す。
検査結果として最も予想されるのはどれか。
肺胞気-動脈血酸素分圧較差〈A-aDO2〉の開大
気管支肺胞洗浄液中の好酸球の増多
肺機能検査における残気率の増加
血清抗GM-CSF抗体陽性
HLA-B54陽性

解答: a

109A29の解説

画像Aではすりガラス陰影を、画像Bでは蜂巣肺を認めており、肺線維症の診断。KL-6の上昇も矛盾しない。年齢や喫煙歴からは慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉も鑑別に挙がるが、典型的な気腫性変化は指摘できない。
a 正しい。間質の線維化により、A-aDO2が開大する。
b 好酸球の増加は好酸球性肺炎の所見。
c 残気量は低下する。
d 抗GM-CSF抗体は肺胞蛋白症のキーワードであり、108I57-dでも誤答肢として出題があるため、今後注意が必要。
e HLA-B54が陽性となるのはびまん性汎細気管支炎〈DPB〉。

正答率:82%

テーマ:特発性肺線維症〈IPF〉の検査

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