108I45

27歳の女性。前胸部痛を主訴に来院した。3週前から前胸部痛が出現し、次第に悪化したため受診した。喫煙歴はない。意識は清明。身長160cm、体重52kg。脈拍60/分、整。血圧108/70mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98%(room air)。頸部リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見:赤血球460万、Hb 11.9g/dL、Ht 40%、白血球7,300、血小板17万。胸部エックス線写真(A)と胸部造影CT(B)とを別に示す。
診断する上で必要性が低い検査項目はどれか。
可溶性IL-2受容体
α-フェトプロテイン〈AFP〉
絨毛性ゴナドトロピン〈hCG〉
抗アセチルコリン受容体抗体
アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉

解答: e

108I45の解説

画像Aにて縦隔陰影の拡大がみられる。肺癌や大動脈瘤も一瞬頭をよぎるが、喫煙歴のない27歳の女性であり、否定的。ポイントは画像Bであろう。前縦隔腫瘍と判別できる。あとは前縦隔腫瘍にどんなものがあったか、一般知識で解決する。105A58の類題である。
a 可溶性IL-2受容体は悪性リンパ腫で上昇する。悪性リンパ腫は後縦隔以外さまざまな部位に発生しうる。
b・c α-フェトプロテイン〈AFP〉や絨毛性ゴナドトロピン〈hCG〉は胚細胞腫瘍で上昇する。胚細胞腫瘍は前縦隔に発生しやすい。
d 抗アセチルコリン受容体抗体は重症筋無力症〈MG〉で上昇する。MGは胸腺腫が原因となることが多く、胸腺腫は前縦隔に発生しやすい。
e 誤り。アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉はサルコイドーシスで上昇する。本患者の縦隔陰影をリンパ節腫脹と解することも可能だが、サルコイドーシスにおけるリンパ節腫脹は両側性である(両側肺門リンパ節腫脹〈BHL〉)ため、否定的。

正答率:75%

テーマ:前縦隔腫瘍の診断に必要な検査項目

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし