108I44

52歳の男性。持続する喘鳴、手足のしびれ感および発熱を主訴に来院した。2年前から喘鳴が出現し、気管支喘息と診断され自宅近くの診療所で治療を継続している。3か月前から四肢のしびれ感が出現した。四肢のしびれ感が増強するとともに2週前から発熱を繰り返すようになったため紹介入院となった。喫煙歴はない。ペットは飼育していない。粉塵吸入歴はない。体温38.6℃。脈拍112/分、整。血圧140/90mmHg。呼吸数24/分。四肢末梢に軽度の表在・深部感覚の低下を認める。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ケトン体(-)、潜血(-)、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球488万、Hb 14.1g/dL、Ht 42%、白血球17,600(桿状核好中球2%、分葉核好中球53%、好酸球30%、好塩基球1%、単球1%、リンパ球13%)、血小板28万。血液生化学所見:総蛋白6.7g/dL、アルブミン3.9g/dL、クレアチニン0.7mg/dL、Na 139mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 101mEq/L。免疫血清学所見:CRP 12mg/dL、β-D-グルカン3.3pg/mL(基準10以下)、抗好中球細胞質抗体PR3-ANCA 10EU/mL未満(基準10未満)、MPO-ANCA 90EU/mL(基準20未満)、IgE 2,180IU/mL(基準250未満)。動脈血ガス分析(鼻カニューラ3L/分酸素投与下):pH 7.37、PaCO2 45Torr、PaO2 65Torr、HCO3- 25mEq/L。胸部エックス線写真(A)と肺野条件の胸部単純CT(B)とを別に示す。
最も考えられるのはどれか。
過敏性肺炎
Goodpasture症候群
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
Wegener肉芽腫症〈granulomatosis with polyangiitis〉
アレルギー性肉芽腫性血管炎〈Churg-Strauss症候群〉

解答: e

108I44の解説

中高年男性の手足のしびれ感と発熱。この段階で血管炎を思い浮かべねばならない。気管支喘息の背景があり、好酸球とMPO-ANCAとが増加していることから好酸球性多発血管炎性肉芽腫症〈EGPA〉〈アレルギー性肉芽腫性血管炎〉〈Churg-Strauss症候群〉を考える。画像A, Bではともにすりガラス陰影がみられている。非特異的だが、本疾患に矛盾するものではない。
a~c ANCAは陰性である。また、神経症状もみられない。
d 多発血管炎性肉芽腫症〈GPA〉〈Wegener肉芽腫〉も一種の血管炎ではあるが、こちらはPR3-ANCAが陽性となる。
e 正しい。上記の通り。

正答率:86%

テーマ:好酸球性多発血管炎性肉芽腫症〈EGPA〉〈アレルギー性肉芽腫性血管炎〉〈Churg-Strauss症候群〉の診断

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