108D58

72歳の女性。咳と労作時息切れとを主訴に来院した。1年前から乾性咳嗽と労作時呼吸困難とを自覚し、時に朝方のこわばりも自覚していた。1か月前から増悪するため受診した。既往歴に特記すべきことはない。意識は清明。身長162cm、体重62kg。体温36.8℃。脈拍76/分、整。血圧130/60mmHg。皮疹を認めない。心音に異常を認めない。両側の背下部にfine cracklesを聴取する。両側手指の変形、腫脹および圧痛は認めない。血液所見:赤血球269万、Hb 8.7g/dL、Ht 25%、白血球9,700(桿状核好中球5%、分葉核好中球74%、好酸球2%、単球4%、リンパ球13%)、血小板22万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン2.8g/dL、AST 22U/L、ALT 12U/L、LD 253U/L(基準176~353)、尿素窒素18mg/dL、クレアチニン1.1mg/dL、尿酸5.9mg/dL、脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉10pg/mL(基準18.4以下)、KL-6 996U/mL(基準500未満)。免疫血清学所見:CRP 8.7mg/dL、リウマトイド因子〈RF〉315IU/mL(基準20未満)、抗CCP抗体65U/mL(基準4.5未満)、抗核抗体80倍(基準20以下)、サーファクタントプロテインD〈SP-D〉178ng/mL(基準0~109)。動脈血ガス分析(room air):pH 7.47、PaCO2 34Torr、PaO2 63Torr、HCO3- 24mEq/L。呼吸機能検査所見:%VC 63%、FEV1% 79%、%DLco 35.6%。胸部エックス線写真(A)と肺野条件の胸部単純CT(B)とを別に示す。
治療薬として適切なのはどれか。2つ選べ
利尿薬
抗菌薬
免疫抑制薬
副腎皮質ステロイド
ロイコトリエン受容体拮抗薬

解答: c,d

108D58の解説

リウマトイド因子、抗CCP抗体、抗核抗体が陽性であり、背景に関節リウマチ〈RA〉あり。fine crackles聴取・血中KL-6とサーファクタントプロテインD〈SP-D〉との増加より、RAに合併した間質性肺炎を疑う。画像Aにて下肺野の網状影を、画像Bにて蜂巣肺認めており、間質性肺炎に合致する。
a BNPも基準値内であり、体内にうっ血はなさそうだ。利尿薬は無効。
b 細菌感染ではない。
c・d 正しい。RA有効な薬剤である。
e ロイコトリエン受容体拮抗薬は気管支喘息やアレルギー性鼻炎などに用いる。

正答率:85%

テーマ:関節リウマチ〈RA〉に合併した肺線維症の治療薬

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