108D43

52歳の女性。ふらつきと視力低下とを主訴に来院した。1か月前から頭重感があり、1週前からふらつきと左眼の見にくさとを自覚していた。既往歴に特記すべきことはない。母親が高血圧。意識は清明。身長157cm、体重56kg。体温36.0℃。脈拍96/分、整。血圧268/166mmHg。呼吸数16/分。頸静脈の怒張を認めない。甲状腺腫を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下肢に浮腫を認めない。尿所見:蛋白1+、糖(-)、潜血(-)、沈渣に円柱を認めない。血液所見:赤血球382万、Hb 10.5g/dL、Ht 32%、白血球4,000、血小板2.5万。血液生化学所見:総蛋白7.6g/dL、アルブミン4.9g/dL、尿素窒素38mg/dL、クレアチニン2.6mg/dL、尿酸6.2mg/dL、血糖106mg/dL、HbA1c(NGSP) 5.8%(基準4.6~6.2)、総コレステロール242mg/dL、Na 141mEq/L、K 3.8mEq/L、Cl 107mEq/L、Ca 9.6mg/dL、P 4.0mg/dL。心電図で左室肥大所見を認める。胸部エックス線写真で心胸郭比56%。腹部超音波検査で腎尿路系に異常を認めない。各種ホルモン検査を提出した。
次に行う検査として適切なのはどれか。
脳波検査
眼底検査
呼吸機能検査
腎生検
静脈性尿路造影

解答: b

108D43の解説

中年女性のふらつきと視力低下。血圧が268/166mmHgと高度上昇している。拡張期血圧が130mmHgを超えているため、悪性高血圧(悪性腎硬化症)の診断。原因は本文中からは読み取れず、だからこそ「各種ホルモン検査を提出した」という締めくくりになっているのだろう。なお、血小板数が2.5万と高度低下していることに注目しよう。原因として血栓性微小血管障害症〈TMA〉が考えやすく、背景に全身性硬化症〈SSc〉など膠原病が存在している可能性が高い。
a 脳波検査はてんかん等の精査に用いる。
b 正しい。血圧の高度上昇により眼底血管が傷害され、網膜症を呈している可能性が高い。眼底検査にてこれを判断することが可能。
c 閉塞性疾患や拘束性疾患の判別に用いる。上記SScでは間質性肺炎を呈することが多いが、本文からはそこまで読み取れない。
d 腎生検は腎障害を増悪させる。現在クレアチニンが上昇している患者には禁忌。また、血小板数が低下しているため、穿刺する手技は出血が止まらなくなる恐れもある。
e 現在クレアチニンが上昇している患者に静脈性尿路造影は禁忌。

正答率:82%

テーマ:悪性高血圧症で行う検査

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