108A41

40歳の男性。乏尿と呼吸困難とを主訴に救急外来を受診した。既往歴に特記すべきことはない。意識は清明。冷汗と下腿浮腫とを認める。III音とIV音とを聴取する。両側の胸部にcoarse cracklesを聴取する。脈拍108/分、整。血圧72/50mmHg。呼吸数28/分。血液生化学所見:クレアチニン1.8mg/dL、Na 134mEq/L、K 3.8mEq/L、Cl 100mEq/L、脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉840pg/mL(基準18.4以下)。動脈血ガス分析(room air):pH 7.32、PaCO2 30Torr、PaO2 62Torr、HCO3- 15mEq/L。心エコー図(傍胸骨左縁長軸像)(A、B)を別に示す。
まず投与すべき治療薬で適切なのはどれか。
β遮断薬
ドパミン
ジギタリス
ニトログリセリン
アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬

解答: b

108A41の解説

心エコーにて、拡張末期も収縮末期も左室の大きさがほぼ変わっていない。すなわち、ほとんど動いていないわけであり、急性心不全の診断。原因は不明だが、血圧が72/50mmHgと心原性ショックを呈しており、緊急な対応が要求される。
左室の拡張末期と収縮末期を対比させる問題はこれまでも数多く出ており(106D59105I74103D40など)、拡張型心筋症〈DCM〉と勘違いしてしまった受験生が多かった(すると、aまたはeを選んでしまう)。本問がこれまでの出題と異なるのは、急激な発症であることと、心原性ショックを呈していることである。しっかりと区別せねばならない。
a・d・e 心原性ショックでは血圧がさらに低下してしまうため、不適切。
b 正しい。心原性ショックに対し、ドパミンで昇圧を図る。
c ジギタリスは強心薬としても知られるが、心拍数を低下させる作用もあり、急性心不全での使用には向かない。

正答率:60%

テーマ:拡張型心筋症〈DCM〉由来の心不全にまず投与すべき治療薬

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