106D59

40歳の男性。労作時の呼吸困難と動悸とを主訴に来院した。2か月前から急いで歩いたときに呼吸困難と動悸とを自覚するようになり、次第に増悪してきたため受診した。3年前から糖尿病のために食事療法と運動療法とを行っている。弟が35歳で突然死したという。意識は清明。身長168cm、体重52kg。脈拍72/分、不整。血圧102/76mmHg。呼吸数20/分。心尖拍動を鎖骨中線から2cm外側に触知する。III音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。心電図で心房細動を認める。心エコー図(A、B、C)を別に示す。
治療薬として適切なのはどれか。3つ選べ
α遮断薬
β遮断薬
抗コリン薬
ワルファリン
アンジオテンシン変換酵素阻害薬

解答: b,d,e

106D59の解説

労作時の呼吸困難と動悸とを主訴に来院した中年男性。糖尿病の既往と突然死の家族歴とを有する。A, Bを比較するにほぼ変化がみられず、心収縮の低下がみてとれる。Cでも左室の動きが低下しており、左室腔の拡張もみられている。拡張型心筋症〈DCM〉の診断。心負荷によるものなのであろう、心電図で心房細動〈AF〉を認めている。
a α遮断薬は末梢血管を拡張させる作用がある。前負荷は減少するかもしれないが、DCMの病態には治療とならない。
b・e 正しい。β遮断薬とアンジオテンシン変換酵素阻害薬とにはDCMの予後改善効果がある。
c 抗コリン薬を用いると頻脈になる。AFという頻脈性疾患が背景にある以上、不適切。
d 正しい。AFによる脳梗塞予防のためにワルファリンまたは直接作用型抗凝固薬〈DOAC〉を導入する。

正答率:72%

テーマ:拡張型心筋症〈DCM〉と心房細動〈AF〉への治療薬

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