107A48

23歳の女性。嘔吐と意識障害のため搬入された。付き添ってきた友人によると数日前から嘔吐が始まり、今朝から「錯乱状態となっている」という。高校生のころ甲状腺の病気で一時通院したが、薬疹が出たため中止したという。閉眼のまま身体をねじらせてうなるだけで呼びかけに反応しない。体温37.4℃。脈拍180/分、整。血圧104/60mmHg。眼球突出とびまん性の甲状腺腫大とを認める。著明な発汗を認める。血液所見:赤血球480万、Hb 14.5g/dL、Ht 46%、白血球9,000、血小板31万。血液生化学所見:尿素窒素34mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、総コレステロール119mg/dL、ALT 187IU/L、FT4 13.8ng/dL(基準0.8~1.7)。
治療として適切でないのはどれか。
a
輸 液
b
β遮断薬の投与
c
ヨード摂取の制限
d
メチマゾールの投与
e
副腎皮質ステロイドの投与

解答: c

107A48の解説

107回唯一の採点除外(正答は公表されていない)。決して悪問ではないと思うのだが、選択肢dが紛らわしかった。惜しい問題。
眼球突出とびまん性の甲状腺腫大、その他甲状腺機能亢進症状よりBasedow病の診断は難くない。今朝から出現した錯乱状態は甲状腺クリーゼと考えられる。
a 体温上昇と著明な発汗によると思われる脱水がみられる(BUN/Cre比上昇あり)。輸液は必須である。
b 脈拍180/分と頻脈があり、β遮断薬は有効。
c おそらく意図された正解肢。無機ヨード投与により甲状腺由来のホルモン分泌を抑制できる。ゆえに制限ではなく、むしろ治療に用いられる。
d 誤答の多かった選択肢。メチマゾールは抗甲状腺薬であり、有効である。しかし、高校生のころに薬疹が出たエピソードがあり、投与は慎重にならざるをえない。そもそも当時のエピソードで何の薬による薬疹なのかが判明しておらず、国試問題としては情報が少なすぎた。抗甲状腺薬の副作用については同じ107回に107D8の出題があり、ここでも皮膚掻痒症が出題されている。
e 抗炎症作用をもち、甲状腺ホルモン活性化を抑制するのに有効。

テーマ:甲状腺クリーゼ