107A49

60歳の女性。血便を主訴に来院した。以前から便秘があり、下剤を使用していた。数日間排便がないため、昨日就寝前に通常の2倍量の下剤を服用した。本日朝下腹部痛とともに、水様下痢を認めた。その後も腹痛は持続し、新鮮血の排泄が数回あったため受診した。不整脈と糖尿病とで治療中である。体温36.7℃。脈拍92/分。血圧126/84mmHg。眼瞼結膜に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腹部に圧痛を認める。血液所見:赤血球430万、Hb 13.1g/dL、Ht 39%、白血球8,700、血小板19万。CRP 1.2mg/dL。下部消化管内視鏡検査を施行した。S状結腸の内視鏡像を別に示す。
対応として適切なのはどれか。
絶食
副腎皮質ステロイドの注腸
内視鏡的止血術
上腸間膜動脈塞栓術
大腸切除術

解答: a

107A49の解説

便秘歴・2倍量の下剤(→腸管の負担増)、高齢者・糖尿病(→動脈硬化の可能性)といった腸管血流が低下しやすい背景下で鮮血便がみられている。虚血性腸炎が考えやすい。内視鏡像でも潰瘍・発赤がみられ、矛盾はない。縦走潰瘍というとCrohn病のキーワードだが、この症例のように虚血性腸炎でも縦走潰瘍がみられることはある。
a 正しい。絶食・補液による保存的治療を行う。
b 潰瘍性大腸炎〈UC〉に有効。
c・d 急性の憩室出血などに有効。
e 大腸癌などに有効。

正答率:71%

テーマ:虚血性大腸炎への対応

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