107A47

20歳の男性。オートバイを運転中に事故で受傷し2時間後に搬入された。搬入時、意識障害と腹部症状とを認めない。胸部、腹部および骨盤部エックス線写真で右大腿骨骨折と骨盤骨折とを認めるが、血胸、気胸および肋骨骨折を認めない。搬入時血圧は120/70mmHgであった。20分後に顔面蒼白となり、脈拍120/分、血圧70/40mmHgとなった。SpO2 100%(リザーバー付マスク10L/分酸素投与下)。血液所見:赤血球255万、Hb 7.0g/dL、Ht 25%、白血球12,200、血小板19万、フィブリノゲン200mg/dL(基準200~400)、FDP 8μg/mL(基準10以下)。緊急に行われた造影CTで後腹膜出血を認める。
輸血と骨盤創外固定に加えて直ちに行うべきなのはどれか。
鋼線牽引
動脈塞栓術
大腿骨髄内釘
ヘパリンの持続静注
非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉の投与

解答: b

107A47の解説

オートバイ事故。右大腿骨骨折と骨盤骨折との診断はついている。血圧が70/40mmHgと低下しているのは骨盤骨折による後腹膜出血が原因と考えられる。骨盤内には主幹血管が複数走行しており、骨折により大量出血をみることが多い。脈拍120/分・血圧70/40mmHgよりShock Indexは1.71であり、2L近い出血が想定される。緊急な止血が求められる。
a・c 大腿骨折に対する対応。急ぐものではない。
b 正しい。内腸骨動脈よりアプローチし、出血部位に塞栓術を行う。
d フィブリノゲンやFDPは基準値内にあり、播種性血管内凝固〈DIC〉はなさそうだ。ヘパリンは不要。むしろよけい出血を増悪させてしまう。
e 消炎や鎮痛に有効であるが、急がれる処置ではない。

正答率:91%

テーマ:交通外傷で輸血と外固定に加えて直ちに行うべきもの

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