107A33

50歳の男性。胸痛を主訴に来院した。数日前から風邪気味であったが、昨日から左前胸部痛が出現した。痛みは数時間続くことがあり、深吸気時と仰臥位とで増強する。意識は清明。身長170cm、体重67kg。体温36.9℃。脈拍84/分、整。血圧140/84mmHg。聴診で収縮期と拡張期とに高調な心雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。血液所見:赤血球456万、Hb 14.5g/dL、Ht 44%、白血球8,900、血小板20万。CRP 4.5mg/dL。胸部エックス線写真に異常を認めない。心電図を別に示す。心エコー検査では左室の拡大はなく壁運動に異常を認めないが、左室後壁の背側にエコーフリースペースをわずかに認める。
治療薬として適切なのはどれか。
免疫抑制薬
カルシウム拮抗薬
アンジオテンシン変換酵素阻害薬
非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉
t-PA〈組織プラスミノゲンアクチベーター〉

解答: d

107A33の解説

深吸気時と仰臥位とに聴取する高調な心雑音(心膜摩擦音である)、心エコー検査での「わずかな」エコーフリースペース(心嚢水である)、といった記載より急性心膜炎を想起するのは難くない。急性心膜炎では心タンポナーデと異なり、少量の心嚢水がみられることがポイントである。画像は102D27と同じ。広範なST上昇がみられており、急性心膜炎に矛盾しない。
a 感染症であり、免疫抑制薬は逆効果。
b・c 血圧は140/84mmHgとそこまで高値ではなく、これら降圧薬は不要。
d 正しい。急性心膜炎の消炎と鎮痛にNSAIDsが有効。
e 血栓症に有効。

正答率:72%

テーマ:急性心膜炎の治療薬

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