107A34

30歳の男性。腹痛と下痢とを主訴に来院した。トレッキング旅行の途中で、自炊していたという。3日前に砂利道で転倒し、左母指と左示指とに挫創を生じた。昨日の夕食は、食事直前に開けた缶詰の牛肉、自分で採取した山菜の炒め物、自分で釣った川魚の塩焼き、自分で作ったおにぎり及び日本酒1合だったという。夕食の直後には異常はなかったが、約4時間後に急激に腹痛と下痢とを発症した。発症後、約3時間経過して症状は徐々に改善しつつあるという。アレルギー歴はない。意識は清明。体温37.0℃。脈拍72/分、整。血圧116/76mmHg。呼吸数14/分。臍周囲に圧痛を認める。腸雑音は亢進している。腹膜刺激症状を認めない。
診断として最も考えられるのはどれか。
亜鉛中毒
農薬中毒
アニサキス症
細菌性食中毒
急性アルコール中毒

解答: d

107A34の解説

夕食の4時間後に腹痛と下痢が出現しており、その潜伏期の短さからはおにぎりによる黄色ブドウ球菌感染が最も考えやすい。砂利道で転倒して挫創が生じていたり、自分で採取・捕獲した山菜や川魚を摂取していたり、と出題者としてはゆさぶりをかけたつもりなのかもしれないが陳腐な問題である。
a 缶詰からの亜鉛中毒、ということであろうか。強引に過ぎる。
b 山菜に農薬が散布されていた、ということであろうか。強引に過ぎる。
c 塩焼きまでした川魚にアニサキスが残存していた、ということであろうか。強引に過ぎる。
d 正しい。上記より、細菌性食中毒(特に黄色ブドウ球菌によるもの)が考えやすい。
e 日本酒1合で急性アルコール中毒に至った、ということであろうか。そもそも腹痛と下痢をみないし、意識障害もみられるだろう。強引に過ぎる。

正答率:93%

テーマ:細菌性食中毒の診断

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