106D58

67歳の男性。頭痛と右下眼瞼の痛みとを主訴に来院した。3か月前から右眼に流涙があり、3日前から右下眼瞼に痛みを伴うようになった。2日前から頭痛があり、次第に増悪してきたため受診した。体温38.5℃。脈拍76/分、整。血圧118/76mmHg。右下眼瞼の腫脹を認める。項部硬直を認める。血液所見:赤血球420万、Hb 13.0g/dL、Ht 37%、白血球21,000(桿状核好中球20%、分葉核好中球60%、好酸球1%、単球2%、リンパ球17%)、血小板21万。CRP 18mg/dL。右下眼瞼の写真を別に示す。
直ちに行うべき治療として適切なのはどれか。2つ選べ
切開排膿
結膜嚢の洗浄
下眼瞼の睫毛抜去
抗菌薬の点滴静注
アシクロビル眼軟膏の塗布

解答: a,d

106D58の解説

3か月前から流涙があったとのことなので元々慢性的な鼻涙管閉塞があったと考えられる。そこに感染が生じたことで急性涙嚢炎へと発展したのだろう。涙嚢部に一致した発赤・腫脹及び排膿が特徴である。さらに本症例では項部硬直も認め、髄膜炎の合併も疑われる。
a 正しい。部位がどこであれ、膿瘍があるときの基本は切開排膿である。
b 結膜嚢とは、眼球結膜と眼瞼結膜でできたスペースのことである。涙嚢炎とは部位が違うので意味がない。抗菌薬による涙道洗浄ならば正解。
c b同様、部位が異なるため意味がない。むしろ抜去することで麦粒腫(いわゆるものもらい)を引き起こす可能性すらある。
d 正しい。発熱があり髄膜炎まで波及しており、全身症状があると考えられるので抗菌薬の全身投与が有効である。
e アシクロビルはヘルペスウイルス感染症に対して用いる。涙嚢炎は主に細菌感染症である。

正答率:85%

テーマ:涙囊炎に髄膜炎を合併した患者に直ちに行うべき治療

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