106D44

69歳の男性。飲食店経営者。人間ドックで胸部エックス線写真の異常陰影を指摘されたため来院した。58歳から高血圧症のため内服治療中である。喫煙は20本/日を40年間。意識は清明。身長164cm、体重70kg。体温36.8℃。脈拍72/分、整。血圧148/72mmHg。呼吸数12/分。頸部リンパ節と鎖骨上リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球430万、Hb 15.3g/dL、Ht 42%、白血球8,100、血小板20万。血液生化学所見:総蛋白7.9g/dL、アルブミン4.6g/dL、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、総ビリルビン1.0mg/dL、AST 51U/L、ALT 38U/L、LD 217U/L(基準176~353)。免疫学所見:CRP 0.1mg/dL。CEA 8.3ng/mL(基準5以下)。肺機能検査所見:%VC 92%、FEV1.0% 75%。心電図に異常を認めない。気管支鏡検査で右B3から擦過細胞診を行いクラスV陽性(腺癌)と判定された。精査の結果、所属リンパ節転移と遠隔転移とを認めなかった。胸部エックス線写真で右上肺野の結節影と左第一肋軟骨の石灰化とを認めた。胸部エックス線写真(A)と胸部単純CT(B)とを別に示す。
第一選択になる治療法として適切なのはどれか。
縦隔リンパ節郭清を伴う右肺上葉切除術
放射線治療と抗癌化学療法との併用
抗癌化学療法
放射線治療
腫瘍核出術

解答: a

106D44の解説

人間ドックで胸部エックス線写真の異常陰影を指摘された69歳男性。擦過細胞診ではクラスV陽性(腺癌)と判定された。胸部エックス線写真では右上肺野外側に陰影を認める。胸部単純CTでは同部位にspiculaや胸膜嵌入像を伴う腫瘤を認める。所属リンパ節転移と遠隔転移とを認めないため、手術適応である。
a 正しい。縦隔リンパ節郭清を伴う右肺上葉切除術を行う。
b 根治的治療である切除ができない例に行う。
c 術後の補助治療あるいはstgeIVの進行性肺癌の例に行う。
d 脳、骨転移例に対しての局所的治療や、体力・呼吸機能的に手術に耐えられないI、II期の例には行うことがある。
e 良性腫瘍に対して行う。

正答率:87%

テーマ:肺腺癌の治療法

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