106C18

38歳の女性。無月経と吐き気とを主訴に来院した。最終月経は8週前、月経周期は28~40日である。1週前から、早朝に悪心を自覚するようになったが、嘔吐に至ったことはない。水分は摂取できている。2週前に一度、少量の褐色帯下がみられた。体温37.2℃。脈拍80/分、整。血圧114/72mmHg。腟鏡診上、腟分泌物は白色で子宮口は閉鎖している。子宮と付属器とに圧痛を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ケトン体(-)。尿妊娠反応陽性。血液所見:赤血球400万、Hb 12.0g/dL、Ht 38%、白血球8,500、血小板21万。CRP 0.5mg/dL。経腟超音波検査で子宮内に直径20mmの胎嚢と心拍動を有する胎芽とを認め、左付属器に径3cmの嚢胞性腫瘤を認める。
現時点の対応として適切なのはどれか。
輸液
経過観察
左付属器摘出術
子宮内容除去術
非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉の投与

解答: b

106C18の解説

無月経と吐き気とがある中年女性である。尿妊娠反応陽性であり、経腟超音波検査で子宮内に直径20mmの胎嚢と心拍動を有する胎芽とを認めることから5週相当と分かる。妊娠経過に問題ないことから、主訴は妊娠によるつわりであると考えられる。左付属器に径3cmの嚢胞性腫瘤はルテイン嚢胞であろう。
a 脱水症状はなく、輸液の必要はない。
b 正しい。正常の妊娠経過であり、経過観察でよい。
c・d ルテイン嚢胞は自然消退するため、切除等の対応は不要である。
e 炎症症状はなく全身状態もよいので、非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉の投与の適応とならない。

正答率:85%

テーマ:左付属器の囊胞性腫瘤を認める正常妊娠6週の妊婦への対応

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