106A56

43歳の男性。頭重感を主訴に来院した。1か月前から後頭部の頭重感を自覚していた。5年前の健康診断で高血圧を指摘されたが、治療を受けていなかった。身長168cm、体重76kg。脈拍80/分、整。血圧180/106mmHg。胸部と腹部とに血管雑音を聴取しない。下腿に軽度の浮腫を認める。尿所見:蛋白2+、糖(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球460万、Hb 14.0g/dL、Ht 44%、白血球9,800、血小板21万。血液生化学所見:血糖112mg/dL、総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.7g/dL、尿素窒素20mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、尿酸6.9mg/dL、総コレステロール240mg/dL、Na 145mEq/L、K 3.0mEq/L、Cl 103mEq/L。胸部エックス線写真で心胸郭比50%である。心電図で左室肥大を認める。
この患者の高血圧症のスクリーニングとして行う検査はどれか。2つ選べ
血漿レニン活性測定
血清プロラクチン測定
血漿バソプレシン測定
経口ブドウ糖負荷試験
血漿アルドステロン測定

解答: a,e

106A56の解説

5年来の高血圧のある中年男性。高血圧、下腿浮腫、左室肥大は体液量が増加しているからと考えれば一元的に説明できる。血液所見では高ナトリウム、低カリウムである。したがって、原発性アルドステロン症を考えたい。
a 正しい。ネガティブフィードバックで減少するレニンを測定する。
b プロラクチンは体液量増加には関係ない。
c バソプレシンの過剰分泌(ADH不適合分泌症候群)で体液量は増加するが、水の再吸収が増えるため低ナトリウムになる。また、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系が働くのでカリウム値は横ばいとなる。
d 経口ブドウ糖負荷試験でインスリン分泌、成長ホルモン分泌を知ることができる。しかし、これらは体液量増加には関係ない。
e 正しい。自律的に分泌されているアルドステロンを測定する。

正答率:92%

テーマ:原発性アルドステロン症のスクリーニング検査項目

フォーラムへ投稿

関連トピック