106A55

生後6日の男児。頭部の腫瘤を主訴に新生児搬送された。在胎39週2日、3,120gで頭位自然分娩で出生した。仮死はなかった。出生直後に頭部の腫瘤を認めていた。腫瘤は増大傾向にあり、黄疸と貧血とが出現して次第に増悪してきたため転院した。意識は清明。身長51.0cm、体重3,080g。両側の頭頂側頭部に径5cmの軟らかい腫瘤を触知する。大泉門の膨隆を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球233万、Hb 8.7g/dL、Ht 23%、白血球28,400、血小板28万、出血時間正常、PT 11秒(基準10~14)、APTT 70秒(基準対照27~40)、フィブリノゲン322mg/dL(基準130~380)。血液生化学所見:総ビリルビン16.2mg/dL、直接ビリルビン0.1mg/dL、AST 45U/L、ALT 12U/L、LD 700U/L(基準335~666)。入院時の頭部単純CT冠状断像を別に示す。
確定診断に必要な検査項目はどれか。2つ選べ
第VII因子活性
第VIII因子活性
第IX因子活性
第XIII因子活性
von Willebrand因子活性

解答: b,c

106A55の解説

出生直後に頭部の腫瘤をみとめている生後6日の男児である。入院時の頭部単純CT冠状断像では縫合を越えない2つの頭蓋外血腫を認めている。血腫は増大傾向にあり、黄疸と貧血とが出現して次第に増悪していることから進行性に出血していることが分かり、頭血腫の診断となる。出血時間は正常であるが、PT正常、APTT延長であり、原因として内因子系凝固異常が示唆される。
a 第VII因子活性は外因系凝固異常にて低下するが、本例ではPTは正常であり考えにくい。
b 正しい。第VIII因子活性は内因子系凝固異常疾患である血友病Aの診断に有用である。
c 正しい。第IX因子活性は内因系凝固異常疾患である血友病Bの診断に有用である。
d 第XIII因子活性はIgA 血管炎にて低下するが、腹痛や紫斑はみられず本例とは臨床像が異なる。
e von Willebrand因子はvon Willebrand病にて活性されるが、本例では浅出血はなく出血時間や血小板数も正常であり否定的。

正答率:69%

テーマ:頭血腫の増大の原因精査に有用な検査項目

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