105A43

68歳の男性。呼吸困難を主訴に来院した。最近労作時の息切れを自覚するようになっていた。午前3時ころから息苦しくなり泡沫様の痰を喀出し、臥位をとれなくなったため救急外来を受診した。夏の暑さのため食欲はないが、麦茶を多飲している。尿量は保たれているという。60歳時に心筋梗塞の既往がある。意識は清明。呼吸数22/分。脈拍104/分、整。血圧116/76mmHg。頸静脈の怒張を認める。四肢末梢に冷感を認めない。両側肺野にcoarse cracklesを聴取する。心尖部にIII音を聴取する。右肋骨弓下に肝を4cm触知する。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉85%であったが、酸素吸入によってSpO2は96%まで上昇した。
治療薬として最も適切なのはどれか。
去痰薬
利尿薬
鎮静薬
抗菌薬
血管拡張薬

解答: b

105A43の解説

労作時の呼吸苦と起坐呼吸を主訴に来院した68歳男性。頸静脈の怒張と低酸素血症を認めうっ血性心不全による肺水腫を考える。心筋梗塞の既往があり、心機能低下が原因なのであろう。四肢末梢に冷汗は認めず、肺うっ血を認めることからForrester分類のII群、血圧116/76mmHgであることからClinical Scenario(CS)2の心不全と診断する。麦茶を多飲していたことも一因であろう。
a 泡沫様痰は呼吸器感染症ではなく、肺水腫によるものである。根本的な解決にならない。
b 正しい。利尿剤により体液貯留を改善させる。
c 心不全での鎮静剤はモルヒネが挙げられる。しかし治療の主体は利尿剤である。最も適切ではない。
d 感染兆候は認めず抗菌薬は不要。
e 血圧は正常である。血管拡張薬は高血圧が主体となるCS1の心不全で適応となる。

正答率:76%

テーマ:肺水腫の治療薬

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