105A38

10歳の男児。自転車で走行中に自動車にはねられたため搬入された。意識レベルはJCS II-20。脈拍120/分、整。血圧86/42mmHg。血液所見:赤血球290万、Hb 7.2g/dL、Ht 27%、白血球11,200、血小板15万。酸素吸入と輸液とを開始後、腹部超音波検査を行い肝腎境界部に液体貯留を認めた。血圧が108/64mmHgに上昇した後に施行した腹腔動脈造影写真を別に示す。
対応として最も適切なのはどれか。
開腹手術
動脈塞栓術
血栓溶解療法
腹腔ドレナージ
血管内ステント留置

解答: b

105A38の解説

自転車で走行中に自動車にはねられたため搬入された10歳男児。血圧86/42mmHgとショックバイタルである。脈拍120/分からショックインデックス〈SI〉は脈拍数/収縮期血圧で表され、1.4であることから1~1.5Lほどの出血が示唆される。腹部超音波検査を行い肝腎境界部に液体貯留を認めることから腹腔内出血が疑われる。腹腔動脈造影写真では腹腔動脈から造影剤が漏出していることがわかる。
a 輸液により血圧は回復しているため、現時点で開腹手術は選択しなくてもよい。
b 正しい。造影剤の漏出があるため責任血管に対し、動脈塞栓術を行う。
c 血栓が原因ではない。
d 腹腔内をドレナージすると、腹腔内圧が低下することで圧迫が解除され再出血につながる恐れがある。
e 狭窄病変に対する治療法である。

正答率:78%

テーマ:腹腔内出血の治療

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