105A39

82歳の男性。尿量の減少と全身倦怠感とを主訴に来院した。3年前に胃癌にて胃全摘術を受けたが、受診は2年前から中断している。意識は清明。体温36.7℃。血圧144/94mmHg。上腹部に手術痕を、両下肢に強い浮腫を認める。その他の身体診察所見に明らかな異常を認めない。血液所見:赤血球362万、Hb 10.8g/dL、Ht 28%。血液生化学所見:尿素窒素40mg/dL、クレアチニン2.8mg/dL、総ビリルビン1.0mg/dL、AST 38U/L、ALT 42U/L、Na 132mEq/L、K 5.6mEq/L、Cl 98mEq/L。腹部超音波検査で膀胱内に尿を認めない。胸部エックス線写真にて心胸郭比58%。腹部単純CTを別に示す。
まず行う処置として適切なのはどれか。
尿管ステント留置
膀胱穿刺
血液透析
腹膜透析
大量輸液

解答: a

105A39の解説

腹部単純CTをみると両腎盂の著名な拡大を認め、水腎症であると分かる。膀胱には尿を認めないため、尿管もしくは膀胱の尿管開口部に閉塞性の病変がある腎後性腎不全と考えられる。胃癌の手術歴があるため、後腹膜転移による両側性の尿管閉塞 or 膀胱癌による両側尿管口閉塞が疑われる。
a 正しい。まずは腎盂に貯留した尿を排出することが重要であると考えられる。
b 膀胱に尿貯留はないため意味がない。
c・d 腎前性腎不全や腎性腎不全の患者に適応がある。その場合でも現時点でのCre値では透析にはならない(当然、前日翌日との比較も必要)。
e 強い浮腫を認め、心胸郭比の拡大、水腎症があり明らかに体液が貯留している。このような患者に大量輸液をしてはいけない。

正答率:90%

テーマ:腎後性腎不全の治療

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