105A31

70歳の男性。全身の掻痒感と褐色尿とを主訴に来院した。1週前から尿の濃染を、3日前から皮膚掻痒感を自覚していた。意識は清明。身長160cm、体重58kg。体温35.8℃。脈拍72/分、整。皮膚は黄染、乾燥し、多数の掻爬痕を認める。眼球結膜に黄染を認める。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知せず、圧痛を認めない。血液所見:赤血球454万、Hb 12.1g/dL、Ht 36%、白血球5,500、血小板12万。血液生化学所見:総蛋白6.1g/dL、アルブミン3.4g/dL、総ビリルビン12.1mg/dL、直接ビリルビン8.3mg/dL、AST 233U/L、ALT 354U/L、LD 488U/L(基準176~353)、ALP 1,091U/L(基準115~359)、γ-GTP 825 U/L(基準8~50)、Na 141mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 107mEq/L。経皮経肝胆道ドレナージチューブからの造影と内視鏡的逆行性胆管造影とを同時に行った胆管造影写真(内視鏡は抜去後)を別に示す。
最も考えられるのはどれか。
胆嚢癌
膵頭部癌
肝包虫症
総胆管結石
肝門部胆管癌

解答: e

105A31の解説

全身の掻痒感と褐色尿を主訴に来院した70歳男性。皮膚・眼球結膜が黄染しており直接ビリルビンが高値であることから閉塞性黄疸を考える。画像では上下両方向からの造影で肝門部における泣き別れをみている。肝門部胆管癌を疑う所見だ。
a 胆嚢はきれいに造影されている。
b 内視鏡的逆行性胆管造影では膵内胆管は狭窄を認めず否定的。
c 画像のような胆管狭窄はきたさない。
d 総胆管結石では胆管内に透亮像を認める。
e 正しい。上記の通り。

正答率:67%

テーマ:肝門部胆管癌の診断

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