104I77

22歳の女性。未経妊。無月経と挙児希望とを主訴に来院した。クロミフェンでは排卵が起こらず、ゴナドトロピン療法を行った。両側卵巣が径15cmに腫大し、胸水と大量の腹水との貯留を認める。一日尿量は300ml。血液所見:赤血球500万、Hb 16.5 g/dL、Ht 55%、白血球19,000。血液生化学所見:LH 35.8 mIU/mL(基準1.8~7.6)、FSH 10.5 mIU/mL(基準5.2~14.4)。
治療として適切なのはどれか。2つ選べ
輸液
ドパミン投与
高浸透圧利尿薬投与
副腎皮質ステロイド投与
ヒト絨毛性ゴナドトロピン投与

解答: a,b

104I77の解説

無月経と挙児希望とを主訴にしている22歳の女性である。LH 高値、FSH 正常であることからは多嚢胞性卵巣症候群〈PCOS〉が疑われる。クロミフェンでは排卵が起こらず、ゴナドトロピン療法を行っている。その結果、両側卵巣が径15cmに腫大し、胸水と大量の腹水との貯留を認めるようになったことから、卵巣過剰刺激症候群〈OHSS〉の診断となる。赤血球数上昇、Ht 高値であることも病態と矛盾しない。
a 正しい。循環血液量を維持すべく、輸液を行う。
b 正しい。利尿を目的に、低用量ドパミンの投与が行われる。
c OHSSでは卵巣が過度に刺激され、血管作動性物質が放出されることがある。これにより、血管透過性が亢進しているため高浸透圧利尿薬投与は禁忌となる。
d 副腎皮質ステロイドでは改善しない。なお、PCOSでは男性ホルモン抑制のため、副腎皮質ステロイドを使用することもある。
e 本疾患はヒト絨毛性ゴナドトロピンが原因であり、追加投与は禁忌に等しい。

正答率:71%

テーマ:卵巣過剰刺激症候群〈OHSS〉の治療

フォーラムへ投稿

関連トピック