104A33

66歳の女性。倦怠感と腰痛とを主訴に来院した。半年程前から倦怠感があり徐々に増悪していたが、昨夕から急に腰痛を生じた。意識は清明。身長165 cm、体重58 kg。体温35.8 ℃。脈拍88/分、整。血圧128/76 mmHg。肝・脾を触知しない。尿所見:蛋白1+、糖(-)。血液所見:赤血球320万、Hb 9.8g/dL、Ht 30 %、網赤血球1.2 %、白血球6,300(桿状核好中球4 %、分葉核好中球56 %、好酸球3 %、好塩基球1 %、単球4 %、リンパ球32 %)、血小板13万。血液生化学所見:血糖96mg/dL、総蛋白9.8g/dL、アルブミン3.4g/dL、尿素窒素38mg/dL、クレアチニン2.1mg/dL、尿酸8.2mg/dL、総コレステロール212mg/dL、トリグリセリド120mg/dL、総ビリルビン1.0mg/dL、直接ビリルビン0.4mg/dL、AST 28U/L、ALT 32U/L、LD 280U/L(基準176~353)、Na 142mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 102mEq/L、Ca 10.4mg/dL、P 4.0mg/dL。血清蛋白電気泳動検査結果を別に示す。
次に行う検査はどれか。2つ選べ
腎生検
骨髄穿刺
胸腹部造影CT
血清可溶性IL-2受容体値測定
血清β2-ミクログロブリン値測定

解答: b,e

104A33の解説

高齢女性の倦怠感と腰痛。総蛋白高値にもかかわらず、アルブミン低値をみている。また、Caも補正後で11mg/dLと高値である。血清蛋白電気泳動にてγグロブリンの上昇をみていることと合わせ、多発性骨髄腫〈MM〉の診断。
a 骨髄腫腎の所見は得られるかもしれないが、それは病変の広がりをみるタイミングで行う。「次に行う」性質のものではない。
b 正しい。骨髄穿刺にて異常形質細胞の増加を証明する。
c 胸腹部造影CTも病変の広がりを見る際に有用。なお、本患者では血中クレアチニンの値が高く、造影検査により腎機能悪化を惹起する恐れあり。
d 血清可溶性IL-2受容体値が高値となるのはリンパ系の疾患である(悪性リンパ腫など)。
e 正しい。血清β2-ミクログロブリン値が高値を示すことがMMの診断に有用。

正答率:72%

テーマ:多発性骨髄腫〈MM〉の検査

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