104A32

50歳の男性。シートベルトを装着せずに車を運転し、電柱に正面衝突し搬入された。意識は清明。体温37.8 ℃。呼吸数30/分。脈拍132/分、整。血圧80/50mmHg。上腹部に圧痛を認める。腹部超音波検査で腹腔内に大量の液体貯留を認める。
まず投与するのはどれか。2つ選べ
酸素
抗菌薬
アトロピン
乳酸加リンゲル液
ノルアドレナリン

解答: a,d

104A32の解説

シートベルトを装着せずに車を運転し、電柱に正面衝突し搬入された50歳男性。血圧80/50mmHg、脈拍132/分とショックバイタルである。腹部超音波検査で腹腔内に大量の液体貯留を認めることから腹腔内出血が示唆される。
a 正しい。出血性ショックの際には循環血漿量の減少により末梢組織への酸素供給も低下する。酸素投与を行い、少しでも酸素が末梢まで届くようにする。
b 現時点で抗菌薬投与は不要。
c アトロピンは徐脈に対する治療薬である。
d 正しい。ショックバイタルであることから、細胞外液の急速補液が必要。
e ノルアドレナリンはカテコラミンの一種である。末梢血管を収縮させ、静脈還流を増やす作用があるも、出血の存在下では戻すべき血液自体が不足している。いわゆる「空打ち」の状況となってしまうため、輸液(d)による潤沢な水分の存在下に行う。

正答率:83%

テーマ:出血性ショックの治療

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