103F28

次の文を読み、28、29の問いに答えよ。
53歳の男性。1か月以上続く咳と37 ℃台の微熱とを主訴に来院した。
既往歴:23歳時に肺結核で1年間入院治療した。
家族歴:母(76歳、降圧薬服用中)、妻(51歳、高脂血症薬服用中)、長男(29歳、交通事故による下肢切断で義足装着中)、長男の妻(27歳、気管支喘息で気管支拡張薬服用中)、孫(生後1か月)。
現 症:身長165 cm、体重55 kg。体温37.2 ℃。呼吸数18/分。脈拍84/分、整。血圧116/72 mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、圧痛や抵抗を認めない。
検査所見:胸部エックス線写真で右上肺野に石灰化陰影とその周囲に軟らかい浸潤陰影とを認める。結核菌の喀痰塗抹検査は陰性であった。
臨床経過:担当医は結核症の可能性が極めて高いと判断し、治療を開始することとした。患者は外来治療を希望していたが、担当医は同居家族の状況から入院治療が必要と判断した。入院後、抗結核薬の4剤併用投与を開始した。治療開始前に行った喀痰培養で結核菌が陽性で、薬剤感受性菌であることが後日判明した。治療開始後2か月目に結核菌培養が陰性となったため退院とした。外来で治療を継続したが、退院4か月後ころから自覚症状と胸部エックス線陰影とが増悪して喀痰塗抹検査が陽性となり、結核菌が証明された。抗結核薬の服用が不規則で飲み残しの多いことが判明し、担当医は入院を指示し規則的な服薬を強く指導した。
初回の入院治療が必要であると判断したのはどの家族のためか。
長男
長男の妻

解答: e

103F28の解説

結核感染が疑われる患者への対応を問うている。喀痰塗抹検査は陰性であるが、培養結果はまだ出ていないため否定はできない。臨床経過からは結核の可能性を強く疑うため結核に準じた対応が必要である。
a~d 成人で、なおかつ免疫力が低下する疾患や内服の既往はない。
e 正しい。生後1か月の乳児はまだ免疫機能は十分ではなく、BCG接種も未施行である。重症化しやすいため接触しないようにする。

正答率:93%

テーマ:【長文1/2】肺結核発症のリスク要因

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