103D35

62歳の男性。全身倦怠感を主訴に来院した。18年前に慢性B型肝炎と診断されたが放置していた。意識は清明。身長170cm、体重64kg。脈拍72/分、整。血圧128/66mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球426万、白血球3,600、血小板9.1万。血液生化学所見:アルブミン3.6g/dL、クレアチニン0.8mg/dL、総ビリルビン1.1mg/dL、直接ビリルビン0.7mg/dL、AST 32U/L、ALT 20U/L、ALP 230U/L(基準115~359)。HBs抗原陽性。腹部超音波写真を別に示す。肝内に占拠性病変は認めない。
血液検査所見として考えにくいのはどれか。
コリンエステラーゼ 920IU/L(基準400~800)
総コレステロール 142mg/dL
Fischer(分岐鎖/芳香族アミノ酸)比 1.9(基準2.4~4.4)
AFP 92ng/mL(基準20以下)
ICG試験(15分値) 23%(基準10以下)

解答: a

103D35の解説

慢性B型肝炎を罹患し、血小板とアルブミンの低下を認めているため肝硬変が疑われる。腹部超音波写真では、肝臓辺縁は鈍化しており、肝硬変を支持する所見である。
a 誤り。合成能低下によりコリンエステラーゼは低下する。
b 合成能低下により総コレステロールは低下する。
c Fisher比は低下する。
d 「肝内に占拠性病変は認めない」と本文に書いてはあるものの、目に見えない肝細胞癌(肝硬変を母地に発生しやすい)が出現している可能性は否定できない。ゆえに肝細胞癌の腫瘍マーカーであるAFPが上昇していても「考えにくい」とまでは言えない。紛らわしい選択肢であるが、他により明らかな正解肢がある以上、そちらに正解を譲ろう。
e 肝硬変により胆汁排泄能の低下を来すため、ICG試験の値は上昇する。

正答率:74%

テーマ:肝硬変〈LC〉の血液検査所見

フォーラムへ投稿

関連トピック