102C24

28歳の女性。hMG-hCG療法による体外受精・胚移植施行後7日目に、著明な腹部膨満と腹痛とを主訴に来院した。身長160cm、体重56kg。体温36.6℃。脈拍88/分、整。血圧90/48mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部超音波検査で大量の腹水貯留と長径10cmに達する両側卵巣腫瘤とを認める。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。尿量:10ml/時。血液所見:赤血球590万、Hb16.9g/dL、Ht55%、白血球13,000、血小板34万。血液生化学所見:総蛋白5.1g/dL、アルブミン2.7g/dL、尿素窒素23.0mg/dL、クレアチニン1.3mg/dL、Na139mEq/L、K4.8mEq/L、Cl109mEq/L。
対応として適切なのはどれか。
輸血
経過観察
電解質輸液
昇圧薬投与
高浸透圧利尿薬投与

解答: c

102C24の解説

hMG-hCG療法後に著明な腹部膨満と腹痛とを呈した28歳の女性である。腹部超音波検査で大量の腹水貯留と長径10cmに達する両側卵巣腫瘤とを認めていることから卵巣過剰刺激症候群〈OHSS〉の診断となる。尿量減少があり、赤血球590万、Hb16.9g/dL、Ht55%と血液濃縮も認めていることから循環血液量減少が示唆される。
a Hb16.9g/dLであり、輸血の適応とはならない。
b OHSSは経過観察によって改善はしない。
c 正しい。循環血液量減少もあり、電解質輸液は必要である。
d 血圧は90/48mmHgと低下しているが循環血液量減少によるものであり、まずは輸液を行う。
e 循環血液量が減少しているため、高浸透圧利尿薬は無効である。

正答率:62%

テーマ:卵巣過剰刺激症候群〈OHSS〉への対応

フォーラムへ投稿

関連トピック