100F36

49歳の女性。貧血を指摘され来院した。若いころから立ちくらみとめまいとを感じている。6人の同胞のうち姉と弟とが以前から貧血を指摘されている。脾を左肋骨弓下に3cm触知する。血液所見:赤血球443万、Hb 8.7g/dL、Ht 27%、網赤血球1.9%、ヘモグロビンF 6.6%(基準2以下)、ヘモグロビンA2 8.9%(基準1.2~3.5)、白血球4,600(桿状核好中球4%、分葉核好中球53%、単球1%、リンパ球42%)、血小板29万、総鉄結合能〈TIBC〉290μg/dL(基準290~390)。血清生化学所見:フェリチン95ng/mL(基準20~120)、Fe 100μg/dL。末梢血塗抹May-Giemsa染色標本を別に示す。
考えられる疾患はどれか。
鉄欠乏性貧血
鉄芽球性貧血
巨赤芽球性貧血
サラセミア
赤血球酵素異常症

解答: d

100F36の解説

中年女性の家族性貧血。脾腫があることから溶血性貧血を疑う(MCV≒60.1と小球性貧血)。成人では異常であるヘモグロビンFとA2が高値を示していることから、サラセミアの診断。末梢血塗抹May-Giemsa染色標本ではtarget cell〈標的赤血球〉がみられている。
a 鉄欠乏性貧血では鉄とフェリチンが低値となるはずだ。
b 鉄芽球性貧血では環状鉄芽球がみられるはずだ。
c 巨赤芽球性貧血では大球性貧血をみる。
d 正しい。上記の通り。
e 赤血球酵素異常症の代表例はグルコース-6-リン酸脱水素酵素〈G-6-PD〉欠損症。X染色体劣性遺伝〈XR〉の遺伝形式をとるため、原則として女性にはみられない。むろん、G-6-PD欠損症以外の赤血球酵素異常症についても厳密には議論せねばならないところだが、異常ヘモグロビンとtarget cellとの出現からサラセミアの診断は固い。

正答率:92%

テーマ:サラセミアの診断

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