100I23

35歳の初産婦。妊娠38週5日に胎児が骨盤位のため脊椎麻酔下の帝王切開術が予定され入院した。妊娠経過は特に異常なく、胎児発育も良好である。意識は清明。身長156cm、体重90kg。脈拍76/分、整。血圧122/78mmHg。尿所見:蛋白1+、糖1+。血液所見:赤血球372万、Hb 10.8g/dL、白血球5,600、血小板19万。
この患者の周術期管理で重要なのはどれか。2つ選べ
麻酔前投薬
輸血
術中体位
栄養管理
早期離床

解答: c,e

100I23の解説

妊娠38週5日に、胎児が骨盤位のため脊髄麻酔下の帝王切開術が予定され入院した35歳の初産婦である。妊娠経過は特に異常なく、胎児発育も良好である。この患者の周術期管理で重要なものを考えていく。
a 全身麻酔前に行われることがある。本症例では局所麻酔が予定されているため、行わない。
※かつては術前鎮静や抗不安作用を狙って術前に投薬を行い、ストレッチャーで患者を手術室に搬送していた。が、現在は患者自身が手術室に歩いて入出することが多く、特段な事情があるケースを除き、前投薬は一般的ではない。
b 赤血球372万、Hb 10.8g/dlであり、輸血の適応とはならない。
c 正しい。髄腔に注入した薬液の拡散度合は体位に依存する。また身長156cm、体重90kgと肥満もあり、仰臥位低血圧症候群予防のために側臥位にするなど、術中管理が必要となる。
d 蛋白1+、糖1+と妊娠糖尿病が疑われるが、周産期管理としての栄養管理は必要なく、慎重に経過観察していく。
e 正しい。帝王切開後の長期臥床は血栓症のリスクとなるため、早期離床は重要である。
※なお、本文中で「脊髄麻酔」という用語が用いられているが、これは一般的な呼称ではない。「脊椎麻酔」が正しい。

正答率:68%

テーマ:帝王切開術の周術期管理

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