100F21

1歳11か月の男児。手術のため入院した。出生直後からチアノーゼと心雑音とを指摘され、生後1か月目に右側のBlalock-Taussig短絡術を受けた。意識は清明。身長85cm、体重12kg。口唇に中等度のチアノーゼを認める。胸骨左縁第4肋間に2/6度の収縮期雑音を聴取する。血液所見:赤血球632万、Hb 18.8g/dL、Ht 54%、白血球9,400。心臓カテーテル検査所見:肺動脈圧12mmHg、右室圧74mmHg、左室圧74mmHg、Qp/Qs 0.6。心電図(A)と心エコー図(B)とを別に示す。
診断はどれか。
肺動脈閉鎖症
Fallot四徴症
三尖弁閉鎖症
修正大血管転位症
総動脈幹症

解答: b

100F21の解説

Blalock-Taussig短絡術の既往がある1歳11か月の男児である。出生直後からチアノーゼと心雑音とを指摘されており、先天性心疾患を考える。胸骨左縁第4肋間に2/6度の収縮期雑音を聴取し、右室と肺動脈とに圧較差を生じている。AではI成分が陰性であることから右軸偏位であり、V2のR波が増高していることから右室肥大を示唆できる。Bでは大動脈騎乗や心室中隔欠損をみとめ、Fallot四徴症の診断となる。
a 肺動脈閉鎖症では肺動脈が先天的に閉鎖しているため、血流動態を維持すべく三尖弁閉鎖不全症、心房中隔欠損症、動脈管開存症をみるはずであり、本例とは臨床像が異なる。
b 正しい。上記の通り。
c 三尖弁閉鎖症では心電図にて左軸偏位をとるため否定的。
d 修正大血管転位症ではチアノーゼをきたさない。
e 総動脈幹症では聴診にて II 音が単一化するため考えにくい。

正答率:78%

テーマ:Fallot四徴症〈TOF〉の診断

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