解決済 105E44 循環器

RCA梗塞後の乳頭筋断裂とPCI後の心タンポナーデの鑑別

右冠動脈のAMIで再灌流直後のショックということなのですが問題文に雑音なしの所見も書いておらず、後乳頭筋の断裂によるショックは否定できないのではないかなと迷ってしまいました。

一応自分なりには
発症一時間後からの迅速なPCI
・再灌流直後のショック
という二点から、乳頭筋の断裂によるショックならもう少し経過が長いんじゃないかなとは考えてみたのですが、どうなんでしょうか。
皆さんのご意見を伺いたいです。

回答2件

  • 乳頭筋断裂は,梗塞による壊死組織をマクロファージが貪食した結果,乳頭筋組織が脆弱化することで,収縮期の腱索の牽引力に耐えられずに断裂するというものです。同じメカニズムで,心室中隔穿孔もおこります。この「マクロファージの浸潤」には1週間ほどかかるようなので,これらの合併症は1週間以上経ってからおこります。
    この105E44の場合は,私は上記のことからまず乳頭筋断裂と心室中隔穿孔を除外し,さらに消去法で脳梗塞,肺血栓塞栓を除外して心タンポナーデを選びました。

    ただし,個人的には心タンポナーデかどうかについては疑問が残ります。PCIの合併症で心タンポナーデがおこるのは,カテーテルで大動脈壁または冠動脈を突き破った場合と考えたので,「大動脈から冠動脈にカテーテルを入れようとする瞬間」が最も危険な瞬間というイメージがありました (カーブの強い大動脈弓部を通しており,さらに急角度で分岐する冠動脈に入れようと奮闘するので)。「再灌流直後に」と問題文にあるということは,ステントあるいはバルーンで冠動脈を拡張させるまでは問題がなかったということです。再灌流を確認したということは冠動脈拡張後に造影剤も冠動脈に注入しており,血管外漏出がなかったことも意味するはずです。にもかかわらず,その直後に心タンポナーデになったということは,「ステント/バルーン拡張後にカテーテルを引き抜く時に冠動脈を損傷した」ということになります。はたしてそんなことはおこるだろうか?というのが率直な印象でした。
    再灌流直後のショックとしては,心筋の虚血再灌流による機械受容体刺激→迷走神経反射 (Bezold-Jarisch反射) があるそうです(http://circ.ahajournals.org/content/67/4/796)。しかしこれは迷走神経反射で徐脈になりますので本問とは合わないですね。

    国試としては考え過ぎかもしれませんが,参考になれば幸いです。

  • 乳頭筋断裂の機序までは理解しておりませんでした。
    とても深い考察ありがとうございます。勉強になりました。

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  • 問題参照 105E44

    65歳の男性。1時間前からの胸内苦悶を主訴に来院した。10年前から脂質異常症を指摘され内服治療中である。意識は清明。呼吸数20/分。脈拍60/分、整。血圧108/72mmHg。12誘導心電図でII、III、aVF誘導でST上昇を認めた。直ちに緊急冠動脈造影を行ったところ、右冠動脈に99%の狭窄を認めたため、経皮的冠動脈インターべンション〈PCI〉を施行した。再灌流直後に脈拍が120/分に上昇しショック状態となり、意識レベルが低下した。
    この患者に発生した可能性が高いのはどれか。
    • a 脳梗塞
    • b 乳頭筋断裂
    • c 心室中隔穿孔
    • d 肺血栓塞栓症
    • e 心タンポナーデ
  • 関連トピック

    なし