解決済 103E56 21.救急 03.血液

輸血量の計算について

輸血量を求めさせる計算で、輸血後の循環血漿量の増加は無視せよということを疑問に思いました。
つまり、循環血漿量5Lに対して1.2Lの増加はさすがに無視できない値なのでは?と思ったのです。

そこで、血液製剤の供給元の添付文章(血液200mLに由来する赤血球 1袋)をみましたところ、以下の記載がありました。
「本剤は、血液保存液 (CPD液) を28mL混合したヒト血液200mLから白血球及び血漿の大部分を除去した赤血球層に赤血球保存用添加液 (MAP液) をそれぞれ約46mL混和したもの」
つまり、本問で問われている全血200mlに由来する濃厚赤血球というのは組成の大部分が血球成分であるため、輸血後の血漿量に影響を及ぼさないのではないかと推測しましたが如何でしょうか。
フォーラムにも投稿がなかったので既に周知の事なのかもしれませんが、同じ疑問を持つ方もいるかと思いシェアいたしました。

なお、調べている間についでに引っかかったのですが、平成29年3月に血液製剤の使用指針が改定されたようです。
血液の安定供給および安全性の面からトリガーと目標値を定めて適切に輸血すべしとのことです。
(本問を周術期と捉えればHb7~8をトリガーにで良いのですが、術後と考えればバイタルが安定しているため不要?)
輸血の是非を問う問題で、出題当初と答えが変わってくる問題などもありそうですね。

赤血球液-LR「日赤」添付文章
http://www.jrc.or.jp/mr/product/list/)より
厚生労働省「血液製剤の使用指針」の改定について
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000159893.html)より

回答3件

  • 赤血球濃厚液1単位は140mlだそうです。
    http://www.jrc.or.jp/mr/transfusion/mfee/
    6単位で840mLですから1.2Lとそれほど変わらないように思えます。

    この患者の場合は循環動態が安定しているので、840mLの負荷を与えても利尿によって最終的には循環血漿量が投与前と同じになるのだと考えました。

    ショックに対応するための輸血とHb補充のための輸血で考え方は変わってくるのでしょうが…。

    トリガー値という概念初めて知りました。有益な情報ありがとうございます。

  • 解説の「 提示されている65kgという体重が出血前の値なのか、出血後の値なのか不明である。6単位の輸血により循環血液量は1.2L増加するため、厳密にはこれもカウントする必要がある。が、~~ 」の箇所は、「輸血後の循環血漿量の増加は無視せよ」という意味ではなく、「出血・輸血による体重の増加は無視できる」、すなわち、「出血や輸血の1~2Lの血漿の増減によって体重が65kgではなく±2kgくらいは誤差があるかもしれないけど、計算過程で1/13するし、体重から循環血漿量求める上ではこのくらいの誤差は無視できるよね」というくらいの意味なのだと思います。Tobeさんがおっしゃるように濃厚赤血球液6単位でも1Lくらいあるので、循環動態への影響は無視はできないと思います。
    Came山さんがおっしゃるように輸血後の循環量を考えると、1Lの増加でも目標値が(50+10)dL×10g/dL→600gとなって誤答してしまいますよね…。
    この問題ではあくまで10g/dlを「目標」として輸血するだけなので、輸血後の循環血漿量は考えなくていいのではないでしょうか?実際の救急やICUの現場でも、結果としては目標より薄まってしまったみたいなことはあると思います。輸血後の循環量を考え始めると、他にも様々な要因を考慮する必要が出てくると思います。ご質問の意図と違っていたらすみません。「血液製剤の使用指針」勉強になりました!

  • tobeさん、ゆっきさん、コメントありがとうございます。

    確かに140mlでしたらあまり変わりませんね。
    他所でも、標準の循環血漿量を越えた輸液は利尿によって速やかに排出されるか
    血管外に出て多少の浮腫となるとあるとありました。
    (元の体重が)65kgなら+1~2kgくらい。そのくらいの誤差は尿量+浮腫としてあっても不思議ではないですね。

    輸血も急速に体内に入れる訳ではなく、推奨速度を保ってゆっくり入れますし、その点のイメージがついていませんでした。

    良い勉強になりました。ありがとうございます。

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  • 問題参照 103E56

    26歳の男性。オートバイを運転中に乗用車と衝突したため搬入された。意識は混濁。身長165cm、体重65kg。脈拍120/分、整。血圧78/60mmHg。脾破裂と診断し緊急手術となった。開腹止血術、輸液および輸血によって循環動態は安定し、術後、集中治療室に収容した。入室時、脈拍76/分、整。血圧110/76mmHg。中心静脈圧は5mmHgであったが、Hb値は6.5g/dLであった。Hb値10g/dLを目標に赤血球濃厚液を投与することとした。
    何単位の投与が必要か。
    ただし、赤血球濃厚液1単位は全血200ml(Hb 14g/dL)に由来する。
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