前提として、X染色体優性遺伝はX染色体1つでも異常があれば発症するが、X染色体劣性遺伝はX染色体1つでも正常であれば発症しないということだと思います。その上でlyon現象が起こりX染色体1つが不活化されると、各々どうなりますでしょうか。
本問では、X染色体劣性遺伝において、女性が保因者の場合に、正常な方の染色体が不活化され消されてしまうと発症してしまうということだと思っておりますが、
逆にlyon現象によって、悪い方のX染色体が不活化されることで、発症していたものが発症しなくなるということも起こり得るのでしょうか。
不活化というものがどういうものなのかのイメージがはっきり出来ておりません。宜しくお願い致します。
まず、Lyon現象(片方のX染色体の不活化)は細胞ごとにランダムで起こることをご理解ください。
ヒト・個体単位のお話ではありません。
細胞単位です。
すべての細胞は、同じゲノムを持ちながらにして、異なる分裂・分化過程を経て、各々の機能を発揮します。
その過程の1つに、各細胞が2本ずつ持っている23対の染色体のうち、どちらを選ぶのか、活性化する方・不活化する方を決めるという作業があるのです。
保因者(女性)について、考えてみましょう。
(確率的には)半数の細胞が正常X染色体を、残り半数の細胞が異常X染色体を不活化することになります。
したがって、正常な細胞と異常な細胞が半々で混在することとなります。
ここまでは、XR(X染色体劣性遺伝)であれ、XD(X染色体優性遺伝)であれ、同じです。
XRとXDの違いは、異常な細胞が半分あることによって、個体が疾患を発症してしまうのか、また、発症を免れるかの一点です。
何かのタンパク質を生体が必須として、それをおおよそ半分、正常なものが産生できなくなった時、生存に支障をきたす類のタンパク質なのか、半分程度の欠損では問題なく生存できるタンパク質なのか、の違いでしょう。
「発症」という言葉を細胞単位に適応するのであれば、たろやんさんの質問も理解できるような気もしたのですが、通常そういったことはしません。正常な細胞・異常な細胞がありながら、生体が何らかの機能支障をきたす場合、我々はそれを「疾患」だと見なすわけです。
きちんとお答えできた自信がありませんが、分からないことがあれば追加でお訊きください。
医学、科学の根本に 少しでも触れられた気がしました。ありがとうございました。この件でまた質問させて頂くことがあるかもしれませんが、その節は宜しくお願い致します。
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