※アプリ経由でいただいた質問です※
112A39が造影剤による急性腎障害の問題で腎前性急性腎障害に該当すると思われるのですが、血中BUN/Cr比は14でした。新しい内科外科の腎の2.1急性腎障害で血中BUN/Cr比<20となると腎性急性腎障害になってしまうのですが、どう理解したら良いのか質問したいです。もし今回は使えないのだとしたら一体2.1Bの表はいつ適応できるのか疑問に思いました。
医学的現象は数学とは異なるため、完全を求めてはいけません。
個人差がありますので、複数ある項目のなかでたとえ1つや2つ、条件を満たさなかったとしても総合的に判断せねばなりません。
わかり易い例を言うと、たとえば日本人は日本語を話しますよね。
外国の方が日本に帰化したら、日本人とは定義されますが、日本語はネイティブ日本人ほどうまくないはずです。
「急性腎障害なら血中BUN/Cr比>20となる。今、血中BUN/Cr比<20なので、急性腎障害ではないのか?」
「日本人なら日本語を話す。今、日本語がうまくないので、日本人ではないのか?」
という感じで似ていますね。
日本語がうまくなくても、日本国籍があって、日本のパスポートを持っていて、日本に住民票をもっていて税金を払っていて、といった他複数要件を満たした場合、総合的に考え、日本人と定義されるべきでしょう。
同じく、診断表の1〜2項目満たさなかったところで、今回は造影剤による腎ダメージが最も考えやすいため、腎前性とはなりません。
むろん、疾患によっては確固たる診断基準が存在し、「このうちの○項目以上をみたした場合に確定」といったケースはありますが、国試の大半は文脈的に最も考えられる疾患を想定してアプローチする問題です(「確定診断はどれか」のような厳格さを追求する臨床問題は多くありません;「最も考えられるのはどれか」的なものが多い)ので、文脈的に総合的にもっともらしいものを残す、というアプローチが要求されます。
医学を勉強するにあたって、この考え方は非常に重要なので、他項目でもまた疑問に思ったら、↑のような考え方を自分なりに再現してみてください。
また、↓の記事ももしまだでしたら読んでおくと良いでしょう。
https://medu4.com/blog/prioritize
御回答ありがとうございます。納得できました。
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56歳の男性。肝臓の腫瘤性病変の精査のため入院中である。C型肝炎の経過観察中に行った腹部超音波検査で肝臓に腫瘤性病変が見つかったため入院した。入院後に腹部造影CTを施行したところ、入院時1.1mg/dLであった血清クレアチニン値が造影検査後2日目に3.0mg/dLに上昇した。入院後に新たな薬剤投与はなく、食事は毎日全量摂取できており、体重は安定していた。体温、脈拍、血圧、呼吸数ともに正常範囲で、排尿回数も5、6回/日で変わらなかった。造影検査後2日目の検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)、沈渣に赤血球1〜4/1視野、白血球1〜4/1視野。血液所見:赤血球302万、Hb 10.4g/dL、Ht 31%、白血球4,600、血小板16万。血液生化学所見:総ビリルビン1.4mg/dL、直接ビリルビン0.8mg/dL、AST 45U/L、ALT 62U/L、LD 360U/L(基準176〜353)、ALP 380U/L(基準115〜359)、γ-GTP 110U/L(基準8〜50)、尿素窒素43mg/dL、クレアチニン3.0mg/L、尿酸8.8mg/dL、Na 136mEq/L、K 5.2mEq/L、Cl 100mEq/L、Ca 8.2mg/dL、P 6.2mg/dL。CRP 0.3mg/dL。腹部超音波検査では両腎に水腎症を認めない。
対応として正しいのはどれか。