解決済 112E42 21.救急

気道確保の方法の使い分け(経鼻エアウェイと気管挿管)

模試の問題で以下のような問題がありました。適宜省略しています。
54歳の男性.
現病歴:職場で突然うめき声を上げて倒れたため,職場の同僚が救急車を要請した.来院時,呼びかけに何とか反応はあるものの会話は困難で,右半身の動きはあるものの左半身は上下肢ともに動きがみられない状態であった.経過中けいれんは目撃されていない.
既往歴:会社の健康診断で血圧高値を指摘されたがそのままにしていた.
生活歴:喫煙は20本/日を30年間.飲酒は機会飲酒.
現症:意識レベルはGCS11(E2V4M5).身長175cm,体重90kg.体温36.8℃.心拍数106/分,整.血圧200/126mmHg.呼吸数10/分.SpO2 98%(リザーバー付マスク5L/分酸素投与下).
検査所見:動脈血ガス分析(リザーバー付マスク5L/分酸素投与下):pH 7.39,PaCO2 45Torr,PaO2 180Torr,HCO3- 24mEq/L.来院後,救急外来で行った頭部単純CT(別冊No.5)を別に示す.(皮質下出血の画像)
CT検査から帰室直後,いびきが激しくなり陥没呼吸が出現した.
ベッドサイドでまず行うべき処置はどれか.
a 気管切開
b 輪状甲状間膜穿刺
c 胸腔ドレナージ
d 経鼻エアウェイ挿入
e アドレナリン筋注
(答え:d、上気道閉塞による換気障害が疑われる状況であり,エアウェイによる気道確保が第一選択となる.)

上記の問題と112E42は呼吸数(10回/分)や酸素化の状態、上気道閉塞が見られた点で同じだと思うのですが、なぜ経鼻エアウェイが正解なのでしょうか。
模試の症例では呼吸数が等しいことから自発呼吸に乏しく、人工呼吸器が必要になるタイミングだと思いました。
自発呼吸が低下している程度や人工呼吸器が必要になる呼吸状態とはどの程度なのかよく分からなくなりました。
また112E42の解説にて「鼻出血の危険性がある場合に経鼻エアウェイは禁忌になる」という情報を見たのですが、このような呼吸状態以外に気道確保の方法を選択する際に考慮すべき要素は他にあるでしょうか。
長文になり、大変恐縮ですが何卒宜しくお願い致します。

回答4件

  • 思うところが色々ある問題ですが、他社の版権物(書籍や模試、講義)についてのコメントは控えさせてもらっています。
    医学部生の方々でディスカッションしていただく分には構いませんので、その場合、↓で自由に行ってください。

    ↓でディスカッションが発展せず、2月になってもこちらのトピックが「未解決」にあった場合、運営側で「解決済」に変更させていただきます。

  • 気管挿管を選んで間違いになることはほとんどないと思いますので、自分は呼吸状態の悪いもしくはこれから確実に悪くなる(気道のすす付着などの)問題では気管挿管を選ぶようにしてます。

    ただ臨床でまず行われるのは、用手的気道確保だと思います(頭部後屈、顎先挙上)。その後経鼻エアウェイで、それでも呼吸状態が保てなければ気管挿管という流れだと思います。

    それを踏まえたうえで112E42ですが、この問題では用手気道確保を既に行っています。が、舌根沈下が強いと書かれています。ということから、経鼻エアウェイによる気道確保は困難を極める可能性が高いと考えられます。というか、多分舌根沈下が強いことがわかったくらいですから、経鼻エアウェイに挑戦している可能性すらあります。
    以上のことから、切迫した中で呼吸状態を保つために気管挿管を選ぶのだと思います。

    しかし、タダヒロ様の提示された問題では舌根沈下の強さについての記載はなく、いびきが生じた直後ですので、経鼻エアウェイを選ぶのだともいます。気管挿管が選択肢にないのも出題者の優しさだと思います。

    ただ、この人は既にリザーバー付きマスクしているんですよね、、、。マスクして酸素化保ってた人に経鼻エアウェイしてもマスクつけられなくないかな?などと考えてしまいました。とりあえずの気道確保ということなのでしょう。

    なので、国家試験を解く上で酸素化の悪い問題では気管挿管が確実でみんなが選ぶ選択肢だと思いますので自分はそれを選びます。もし気管挿管が選択肢になければ経鼻エアウェイを選ぶくらいの感覚でいいと思います。また気管切開などは気管挿管してダメだった場合選ぶようにしています。

    もちろん息が苦しくても酸素化が保たれていれば通常の治療を選びます。例えばクループ症候群でそのような問題があったと思います。

    こんな感じでいいと思います。

    偉そうに語ってしまいまい申し訳ありませんでした。

    長文駄文失礼いたしました。

    • 大変丁寧に説明いただきありがとうございました。
      用手気道確保の有無から判断するところに大変納得いたしました。

  • いきなり失礼します。私もその模試の問題の解答を読んでいる際に疑問に思ったのですが、経鼻エアウェイは脳出血の患者には禁忌と認識していたため納得がいきませんでした。
    経鼻エアウェイは脳出血の際にも適応されるのでしょうか?

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  • 問題参照 112E42

    次の文を読み、42、43の問いに答えよ。

    68歳の女性。意識障害と右上下肢の麻痺のため救急車で搬入された。

    現病歴:3年前から高血圧症と心房細動に対して降圧薬と抗凝固薬との内服治療を受けていた。夕方、夫との買い物の途中で右手に力が入らなくなり、右足の動きも悪くなった。帰宅後、玄関先に倒れ込んでしまい意識もはっきりしない様子であったため、夫が救急車を要請した。

    既往歴:7歳時に急性糸球体腎炎で入院。

    生活歴:喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。

    家族歴:父親が高血圧症で治療歴あり。

    現 症:意識レベルはGCS 9(E3V2M4)。身長158cm、体重54kg。体温35.8℃。心拍数68/分、不整。血圧192/88mmHg。呼吸数10/分。SpO2 97%(鼻カニューラ4L/分酸素投与下)。頸静脈の怒張を認めない。心音は心尖部を最強点とするII/VIの収縮期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。右上下肢に弛緩性麻痺を認める。

    検査所見:血液所見:赤血球398万、Hb 10.2g/dL、Ht 34%、白血球8,800、血小板22万、PT-INR 2.1(基準0.9〜1.1)。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、AST 18U/L、ALT 12U/L、尿素窒素22mg/dL、クレアチニン1.2mg/dL、Na 138mEq/L、K 4.8mEq/L、Cl 109mEq/L。頭部CTで左被殻に広範な高吸収域を認める。

    CT撮影を終え処置室に戻ってきたところ、呼吸状態が悪化した。舌根沈下が強く、用手気道確保を行ったがSpO2の改善がみられなかった。

    この患者にまず行う気道管理として適切なのはどれか。

    • a 経口気管挿管
    • b 経鼻気管挿管
    • c 輪状甲状靱帯切開
    • d 経鼻エアウェイ挿入
    • e ラリンジアルマスク挿入
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