DDRは左心房の圧が高いことやM弁が硬いことによって、M弁前尖の動きが悪くなることによって低下するとのことですが、心房の圧が高い、M弁が硬いのであれば、後尖も同じような動きをすると思います。しかし、同じ形ではありませんし、そもそもDDRは前尖が指標になっています。なぜ後尖は前尖と同じ動きをしないのでしょうか。
ゆううう様
【前尖が指標なのはなぜ?】
前尖の可動性は比較的保たれるが、後尖は初期から可動性が低下し後壁に対して垂直になり判読に適さない。
→ 循環器超音波検査の適応と判読ガイドラインp5を参照ください。
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010yoshida.h.pdf
【同じ動きをしないのは何故か?】(注1)
左心房から見て、前尖は大きいですが、後尖は小さいです。
また、左室流出路には筋性トンネルがなく、前尖はその影響を受けます。
これは、前尖が大動脈弁に線維性に連続していることも意味します。
つまり、僧帽弁の弁輪は前尖が大動脈弁の方に広がっているのに対して、後尖はそのような広がりがありません。
(ただし、僧帽弁の弁輪を構成する後尖の線維性組織は、左心房から見て後尖より後方に〝深くに〟位置し直視出来る訳ではない。
弁の手術が技量によると言われる所以の1つだと思います。)
腱索を支持する乳頭筋は2つで共用してますが、後方では乳頭筋が複数ある場合があります。
(一方で、後方乳頭筋はsingle supplyなので虚血症状が出易いのが心筋梗塞の合併症で有名です。)
以上の特徴から、同じ動きにはなりません。
【補足】
僧帽弁、大動脈弁、三尖弁は線維性連続しています。
この部分を刺激伝導系が通ります。
【参考資料】
注1 日本小児循環器学会雑誌 33巻2号 Page135-139(2017.03)
【参考問題】
心臓の解剖は毎年出るらしいです。
今回の内容に関連したものを載せておきますので、復習にお使いください。
109B32
106B13
参考になれば幸いです。
かずまる様
たいへん詳しくご回答いただきありがとうございました。
解剖を復習して理解を深めたいと思います。ありがとうございました。
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