118F73

次の文を読み、以下の問いに答えよ。
70歳の男性。激しい胸痛のため家族に伴われて救急車で搬入された。
現 症:意識レベルはJCS II-10。心拍数104/分、整。血圧68mmHg(触診法)。呼吸数26/分。SpO2は測定不能(リザーバ付マスク10L/分 酸素投与下)である。心音は奔馬調律である。呼吸音は全胸部にcoarse cracklesを聴取する。皮膚は湿潤し、四肢末梢の著明な冷感を認める。
検査所見:心電図を別に示す。
研修医、指導医および看護師の3人が救急外来で夜間勤務をしていた。研修医が初期対応をおこなった。
研修医が最も優先すべき対応はどれか。
家族へ予後の説明
家族からの病歴聴取
指導医への応援依頼
看護師と治療方針の確認
急変時の気管挿管の同意取得

解答: c

118F73の解説

【ポイント】
激しい胸痛で救急搬送された高齢男性。血圧68mmHg(触診法)、奔馬調律、coarse crackles聴取、四肢末梢の著明な冷感といった記載から、心原性ショックに至っていると予想される。心電図ではIII, aVR, V1〜4でST上昇を認めており、急性心筋梗塞〈AMI〉を疑う。1問目の正答率は63%とかなり低く、目を疑った。国試に合格すると、4月(早いと3月)には研修病院での勤務が始まる。夜間勤務もやがて開始となるだろう。心原性ショックを呈した、今にも命を失いそうな患者が搬送された際に、指導医も呼ばず呑気に家族から病歴聴取を行ったり、起こるかどうかわからない急変時を想定して同意取得をしたりする研修医候補が37%もいる事実はにわかに信じがたい。......とここまで言われればさすがに正解肢以外はおかしいと気づくはず。要は試験本番でそこまで想像力が及ぶか否か、というところなのだろう。空気に飲まれてはならない。刮目して試験冊子の裏にいる出題者の意図を推し量るのである。

【選択肢考察】
a 現時点では情報が少なすぎ、十分な予後の説明ができない。
b 実際に次の問題では既往歴等の追加情報が得られているため、もちろん重要なのであるが、「研修医が最も優先すべき」という設問誘導から出題者の意図を察してほしい。
c 正しい。ファーストタッチは研修医であるが、研修医一人でAMIを捌き切ることは難しい。まずは応援を呼ぼう。
d (むろん看護師を交えてもよいが)通常、治療方針の確認は指導医と行う。
e もちろん急変し、気管挿管が必要となる可能性はある。が、それは現時点で「研修医が最も優先すべき対応」ではない。

正答率:63%

テーマ:研修医が優先すべき対応

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