118F70

次の文を読み、以下の問いに答えよ。
70歳の男性。意識障害のため救急車で搬入された。
現病歴:3か月前に妻が死亡した後、約1週間前から生きていくのが非常に辛いと悩んでいた。本日、自宅で意識を失った状態で倒れているところを息子が発見し、救急車を要請した。救急搬送中に10分間のけいれんを認めた。本人が倒れていた部屋には空の瓶と遺書があった。
既往歴:高血圧症で降圧薬を内服している。
生活歴:息子と2人暮らし。自宅で農業を営んでいる。
家族歴:特記すべきことはない。
現 症:意識レベルはJCS III-100。身長169cm、体重72kg。体温38.8℃。心拍数120/分、整。血圧120/82mmHg。呼吸数32/分。SpO2 85%(リザーバ付マスク10L/分 酸素投与下)。瞳孔径は左右2.0mm。対光反射は緩慢である。口の周囲に吐物と唾液の混ざったものを認める。全身に著明な発汗を伴い、全身の筋肉はけいれんしている。
まず行う処置はどれか。
胃管挿入
気管挿管
全身冷却
大量輸液
中心静脈カテーテル留置

解答: b

118F70の解説

【ポイント】
本人が倒れていた部屋に空の瓶があった、とのことで何を服用したのか考える。自宅で農業を営んでいること(農薬の可能性が高い)、両側性の縮瞳、対光反射緩慢、著明な発汗、全身の筋肉けいれんなどから有機リン中毒が疑われる。JCSが3桁であり、頻呼吸がみられ、酸素投与下にもSpO2が85%と低値である。まずは気道確保が必要だ。

【選択肢考察】
a 胃内容物のドレナージ等に有効だが、気道確保より優先順位は低い。
b 正しい。気管挿管をまず行う。
c たしかに発熱はあるも、熱中症ではないため、全身冷却(クーリング)は急がない。
d 血圧は保たれており、現時点での大量輸液の必要はない。
e 現時点では末梢静脈の確保で十分だ。

正答率:97%

テーマ:意識障害の患者にまず行う処置

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