118F53

38歳の女性。手に菌がついてしまっているのではないかと心配で仕方ないことを主訴に母親に伴われて来院した。専門学校卒業後、20歳から美容師となり、30歳で美容院を開業している。その頃から菌がついていると言って頻回に手を洗うようになり、数年前から家族の菌も恐れて家族を部屋に入れなくなった。最近は仕事もできなくなり、自分自身の入浴に2時間くらいかけ、家族にも入念に体を洗うように指示するようになった。診察室では疎通性が良好で家族に迷惑をかけていることを自覚している。
診断はどれか。
統合失調症
症状性精神障害
強迫性障害〈強迫症〉
身体的苦痛症〈身体症状症〉
素行障害〈素行・非社会的行動症〉

解答: c

118F53の解説

【ポイント】
手や身体を繰り返して洗う、という強迫行為がみられ、日常生活に支障がみられている。自己の中でルール化・儀式化された行為を他者にも強いており、かつ迷惑をかけていることの自覚がある。強迫性障害の診断。

【選択肢考察】
a 「疎通性が良好」とあるため、否定的。
b 身体疾患に付随して生じた精神障害のこと。慢性甲状腺炎〈橋本病〉や全身性エリテマトーデス〈SLE〉でみられるものが代表的。本患者には身体疾患がみられていないため、否定的。
c 正しい。上記の通り。
d 自覚症状に見合う身体的異常や検査結果が無いにもかかわらず、痛みや吐き気といった身体的な症状が長期続く病態。
e 思春期にみられやすい、反社会的行動を繰り返す病態。

正答率:99%

テーマ:強迫性障害〈強迫症〉の診断

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