118F52

43歳の男性。持続する咳、痰および労作時呼吸困難を主訴に来院した。小児期から風邪をひきやすく20歳台から咳と痰の回数が増加した。2年前から膿性痰が1日中持続し息切れを自覚するようになった。自宅近くの診療所で抗菌薬を処方され症状は少し改善したが、再燃したため紹介受診した。喫煙歴はない。意識は清明。体温36.9℃。脈拍76/分、整。血圧116/68mmHg。呼吸数20/分。SpO2 97%(room air)。心音に異常を認めない。呼吸音は両側下胸部にcoarse cracklesを聴取する。胸部エックス線写真で両側中・下肺野を中心にびまん性粒状陰影を認めた。胸部単純CTでびまん性小葉中心性粒状影を認めた。
診断はどれか。
肺気腫
粟粒結核
気管支拡張症
慢性気管支炎
びまん性汎細気管支炎

解答: e

118F52の解説

【ポイント】
画像にて肺野にびまん性(小葉中心性)粒状(陰)影がみられており、びまん性汎細気管支炎〈DPB〉と考えられる。小児期から風邪をひきやすかった、とのことで先天的な病態(副鼻腔気管支症候群)の一環として発現している可能性が高い。

【選択肢考察】
a 肺気腫であれば、(coarse cracklesではなく)呼吸音の減弱をみる。また、画像検査では肺の過膨張や気腫性変化をみる。そもそも「喫煙歴はない」でCOPD症例を提示するとは考えにくい。
b 粟粒結核では画像検査で全肺野にわたる多発小結節影をみる。また、発熱や炎症所見がみられる。
c 気管支拡張症とDPBの関係についてよく質問を受ける。気管支拡張症は「種々の原因により気管支が拡張した病態」と定義されるため、DPBはその原因の1つと言える。ゆえにある意味正解ではあるのだが、1つしか選べない問題で他にDPBという列記とした選択肢が提示されていること、もし気管支拡張を正解にしたいのであれば粒状影推しな記載はせず、(100H39や102A50のように)気管支の拡張がみられている点を強調するはずであること、などから正解とはならない。
d 慢性気管支炎では気管支壁の肥厚がみられる。粒状影はみない。
e 正しい。上記の通り。

正答率:74%

テーマ:びまん性汎細気管支炎〈DPB〉の診断

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