118F47

日齢3の男児。頭部の腫瘤を主訴に新生児搬送された。在胎39週、3,120gで頭位自然分娩で出生した。仮死はなかった。出生直後から頭部の腫瘤を認めていた。腫瘤が増大し、黄疸と貧血とが出現して次第に増悪したため転院した。意識は清明。身長51.0cm、体重3,080g。体温37.0℃。心拍数140/分、整。血圧86/56mmHg。呼吸数32/分。SpO2 98%(room air)。活気不良。顔色不良。両側の頭頂側頭部に径5cmの軟らかい腫瘤を触知する。大泉門の膨隆を認めない。眼瞼結膜に貧血を認める。眼球結膜に軽度の黄染を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球233万、Hb 8.2g/dL、Ht 23%、白血球14,400、血小板28万、出血時間正常、PT-INR 1.0(基準0.9〜1.1)、APTT 90秒(基準対照32.2秒)、フィブリノゲン322mg/dL(基準130〜380)。血液生化学所見:総ビリルビン16.2mg/dL、直接ビリルビン0.1mg/dL、AST 45U/L、ALT 12U/L、LD 430U/L(基準198〜404)。児は第2子であり、3歳の姉がいる。両親は血族婚ではない。両親にはそれぞれ弟が1名いる。
この患者と同じ疾患を持つ可能性が最も高いのはだれか。
父の弟
母の弟

解答: e

118F47の解説

【ポイント】
出生直後から認める頭部の腫瘤の原因を考える。ポイントはAPTTの延長であろう(血小板数とPTは基準値内)。設問誘導(遺伝性疾患であることが示唆されている)や男児であることを合わせ、血友病を考える。出血傾向により、頭血腫ないし帽状腱膜下血腫を呈しているのだろう。これによって、黄疸と貧血も説明がつく。血友病はX染色体潜性遺伝〈XR〉の形式をとるため、通常は母親の家系から遺伝し、発症するのは男性である。ゆえに、「母の弟」が正解。

正答率:86%

テーマ:患児と同じ疾患を持つ可能性が高い親族

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし